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脱ヌーボー 熟成ワインに回帰 仏ボージョレ ブーム陰り耕作放棄も

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脱ヌーボー 熟成ワインに回帰 仏ボージョレ ブーム陰り耕作放棄も

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フランス・リヨン、ボージョレ地区  今年は11月21日に解禁日を迎える新酒ワイン「ボージョレ・ヌーボー」の生産地、フランス南東部ボージョレ地区で異変が起きている。ここ10年ほど販売が落ち込み、耕作が放棄される畑も出現。醸造家らの間では「ヌーボー頼り」から脱却し、時間をかけて造る熟成ワインを見直す動きが広がっている。

 今年は11月21日解禁

 フランス第3の都市リヨンに近い丘陵地帯。緑のブドウ畑が広がる中に、茶色く荒れた畑が点在する。フランス農業省傘下機関の統計では、2004年に全世界で約7000万ユーロ(約93億円)だったボージョレ・ヌーボーの売り上げは09年に約3300万ユーロまで低下。10年と11年も4000万ユーロ台前半にとどまった。この間、毎年250~300ヘクタールの畑が耕作放棄された。

 新酒ワインは収穫祭用などに各地で造られるが、ボージョレ産は特にフルーティーで飲みやすいと評判で、1950~60年代に国内で人気が拡大。「解禁日」というイベント性も受け、80年代前後に日本を含め世界中に広まったが、2000年代には人気が陰った。関係者は「供給過多。消費者は飽き、乱造で質も落ちた」と口をそろえる。

 日本の輸入半減

 11月21日の解禁日に向け、ボージョレ・ヌーボーの最大の輸入国である日本では(11月)5日に通関作業が始まった。PR会社のフランス食品振興会(東京都渋谷区)によると、08年の日本の輸入量は04年と比べほぼ半減。その後は回復傾向にあり、昨年は輸出されたボージョレ・ヌーボーの約6割が日本向けだったが、「安価なペットボトル入りなどが手に入りやすくなり、売上額が増えたかは分からない」(担当者)。

 産地独自の魅力

 造るのは熟成ワインだけというボージョレの醸造家ローラン・フォパンさん(30)は「15年前くらいまではヌーボーが産地を牽引(けんいん)していたが、その役割は終わった」と話す。「新酒があるということは背後に産地独自の歴史や文化、気候や土壌の総体が生み出す熟成ワインがあるということ。この地域が立ち直るためには、その基本に戻る必要がある」と力説した。

 毎年収穫の5%程度をヌーボーに回す醸造家ルシアン・ラルディさん(55)は「みんなヌーボーに頼りすぎていた」と自戒。「ヌーボーが売れるのは解禁から数週間。年間を通して売れる熟成ワイン重視は、経営的にも理にかなう」と指摘した。

 近年は熟成ワインの売り込みに力を入れる生産者組合「アンテル・ボージョレ」のフレデリック・ラブール会長(36)は「外国では、ヌーボーは飲むがボージョレは場所も知らないという人がほとんどだろう」と言い、「熟成ワインを通してワイン産地ボージョレの魅力を知ってほしい」と話した。(共同/SANKEI EXPRESS

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