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【対話の達人】愚痴にしか聞こえない「昔は~だった」 Steve Mogi
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年長者が若い人を諭すときに「昔は~だった」という表現を使うことがあります。紀元前3500年シュメール文明の遺跡から出土した粘土板にもこう書かれていたそうです。「近頃の若者はなっていない。実に嘆かわしい時代になったものだ」。
若者に言動を直してほしいとの願いが込められていると思うのですが、この言い方はあまり効果的ではありません。そもそも昔は本当にそうだったと立証するのは難しく、その通りだったとしても今と昔では状況が違うわけですから、聞いている若者も「はい、そうですね」と簡単に考えを改めないでしょう。
若者にとって「昔は~だった。だから~しなさい」は、年寄りの愚痴にしか聞こえないので、違う方法で諭す方がよさそうです。先人が若者に授けられる知恵は、情報量に裏付けられた選択肢です。例えば、仕事のやり方を教えるときは、昔の状況と今の状況を説明し、どんな行動を取るべきかの選択肢を与えます。相手に考えさせる言い方で道筋を示すことが肝心です。相手が指示されていると感じると、十分な効果は望めません。しかも責任の所在は全て指示したあなたにあると考えますので、責任の共有が必要です。
部下に指示するときは、次のような手順で話すとよいでしょう。(1)「この仕事は~の考え方に基づいている」(2)「現状を考えると○○や△△の選択肢がある」(3)「あなたの考えは」
返答内容に応じて、相手の選択をサポートしましょう。双方が納得して目標を確認することもできるので、責任の共有にもなります。相手の個性に合わせて指示や提案の表現方法を変えてみましょう。私生活にも応用できますので、ぜひお試しください。(ICT教育研修研究所所長 Steve Mogi/SANKEI EXPRESS)