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【台風26号】町長「判断誤った」 情報を過小評価

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【台風26号】町長「判断誤った」 情報を過小評価

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 土砂災害の危険性を認識しながら避難勧告や避難指示を出していなかった東京都大島町。「夜中に無理に避難させれば被害を増やすと考えた」。川島理史(まさふみ)町長(61)はこう弁明するが、「行政の不作為」が被害拡大を招いた可能性もある。一方、古屋圭司防災担当相(60)が10月17日の会見で「(制度の)見直しを含めてあり方を検討する」と発言するなど、運用法の見直し論も浮上。問題は広がりを見せている。

 出張中、電話で対応

 大島町によると、(10月)15日午後1時すぎ、町は防災無線で住民に注意を呼び掛けた。町長と副町長は出張中で不在。雨脚は強まり、気象庁は午後5時38分に大島町に大雨警報を発令。午後6時5分には大島町に土砂災害警戒情報を発令した。

 さらに記録的短時間大雨情報が16日午前2時32分に出されて以降、大島町は気象庁や都から直接電話でも防災対応を求められたほか、警視庁大島署からも避難勧告を出すよう要請された。だが、動かなかった。

 川島町長は「災害情報を過小評価していた。判断を誤った」との認識を示した。気象庁の羽鳥光彦長官は17日の会見で、都や町に電話で「尋常ではない状況」を伝えた対応について、「より確実に危機感を伝える表現方法を検討する必要がある」と述べた。

 発令対象の状況

 「(10月)15日夕に土砂災害警戒情報が出された段階で避難勧告など何らかの避難情報を出すべきだった」。災害対策に詳しい防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏(70)は断言する。

 総務省消防庁によると、土砂災害警戒情報が出されると、多くの自治体は「避難準備情報」「避難勧告」「避難指示」の順で避難を促す。2005年に作成された消防庁のガイドラインに基づき発令基準を策定しているからだ。大島町も同様のガイドラインを策定しており、基準の一つとして「避難の必要が予想される各種気象警報が発せられたとき」と規定していた。

 消防庁幹部はこうした運用実態を踏まえ、「なぜ何も発令しなかったのか疑問」と語る。山村氏は「警戒情報という明確な“催促”が出されており、大島町の認識が甘かったのではないか」とみる。

 「危機管理ゼロ」憤る住民

 「夜中の避難」を懸念するなら、もっと早めに対策を取ることもできた。実際、大島町から南西に約60キロ離れた神津島村では「夜中にいきなり避難してもらうのは難しい」として、(10月)15日夕に防災無線で避難所開設を周知し、(10月)15日午後8時25分に避難準備情報を発令。最終的に16日午前0時半に避難勧告を出した。

 大島町の対応をほかの自治体はどうみるか。東京都内の自治体幹部は「勧告発令はいつも躊躇(ちゅうちょ)する」と一定の理解を示す。別の自治体担当者は「せめて準備情報を出して避難所を開設すべきではないか」と話す。

 大島町民は批判的だ。清掃業の松島武春さん(52)は「夜遅くに勧告を出されても、どこに避難していいか分からない。予測が甘かった」と話す。自営業の女性(59)は「ちゃんと情報を提供していたら多数の死者が出ることはなかった。危機管理が全くできていない」と憤った。

 古屋防災担当相は、今回の問題をふまえ「国がアドバイスすることも含め、速やかに対応し、人命を守れる方策を検討する」と強調した。避難勧告、避難指示の出す自治体の判断の是非とともに、その運用法も改善の検討が迫られている。(SANKEI EXPRESS

 ■避難勧告と避難指示 いずれも災害対策基本法に基づき、市町村長が発令する。「勧告」で住民に避難開始を、「指示」ではより危険が迫った住民に、安全な場所に避難し終えることを伝える。要請の度合いは「指示」の方が強いが、どういう状況でどちらを発令するかについての統一的な基準はなく、法的強制力もない。消防庁は各自治体に発令基準の作成を求めており、「見直し中」を含め約9割が策定に着手している。基準のない市町村は、河川の水位や雨量、避難経路の安全などを勘案しながら発令するケースが多い。

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