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東京モーターショー開幕 「技術の発信地」 日本勢復権なるか

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東京モーターショー開幕 「技術の発信地」 日本勢復権なるか

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一般公開を前に報道陣に公開された「第43回東京モーターショー2013」。多くの報道陣で賑わっている=11月20日午前、東京都江東区の東京ビッグサイト(鴨川一也撮影)  第43回東京モーターショーが11月20日、報道関係者向けに開幕した。会場の東京都江東区の東京ビッグサイトで、ヤマハ発動機の柳弘之社長が記者会見し、自動車事業に参入すると表明した。

 ショーには、最新技術を投入した燃料電池車(FCV)など環境車に加え、スポーツカーやデザインを重視した車が数多く登場した。

 ヤマハ発は、2人乗りの小型四輪車の試作車「モティフ」を初公開。主力であるバイクの技術を生かして開発を進め、2020年までに日本を含めた世界で販売する計画だ。

 柳社長は記者団に「二輪から四輪へと、技術と顧客を広げるチャレンジを続けていきたい」と語った。試作車は排気量1000ccで2人乗り。市街地での手軽な移動手段としての利用を想定している。

 モーターショーでトヨタ自動車は、15年の実用化を見据えて開発を進めるFCVを展示する一方、高級ブランド「レクサス」のスポーツクーペ「レクサスRC」を初めて公開した。世界の富裕層を中心に売り込む。

 ホンダと日産自動車はそれぞれ、15年に米国で発売するハイブリッドシステムを搭載した「NSX」と、1501万5000円の「NISSAN GT-R」の高級スポーツカーを出展した。日産は次世代の電気自動車(EV)も披露した。

 また、ダイハツ工業は樹脂の外板の取り外しができる軽自動車を発表。スズキやホンダも軽のオープンカーを披露した。

 富士重工は新型ワゴン「レヴォーグ」、マツダは主力乗用車「アクセラ」を展示した。

 モーターショーは22日に開会式があり、23日~12月1日に一般公開。入場料は大人1500円(前売り1300円)、高校生500円(同400円)、中学生以下は無料。

 ≪「技術の発信地」 日本勢復権なるか≫

 11月20日に報道関係者向けに開幕した東京モーターショーには、燃料電池車や自動運転車などの最先端技術が数多く披露された。海外メーカーは近年、世界最大市場となった中国などでのモーターショーを重視する姿勢を強めているが、日本勢は東京ショーを先端技術の発信地としてPRし、存在感を保ちたい考えだ。

 出展企業が半減

 「開発拠点は日本車メーカー全社が国内に置いている。各社が先端のアイデアを出す、世界でもまれなモーターショーだ」。主催者の日本自動車工業会が(11月)7日に東京都内で開いた記者会見で、豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は東京ショーの意義をこう説明した。

 1954年に始まった東京ショーは、91年に入場者数が約201万人、95年に出展企業などの数が361と、それぞれ最高を記録。その後は減少傾向で、前回の2011年の来場者は約84万人とピーク時の42%にとどまり、今年の出展企業なども177と半減した。

 日本で一定の売れ行きがある欧州メーカーは基本的に参加を続けているが、ゼネラル・モーターズ(GM)など米大手3社は3回連続の不参加だ。

 背景には市場としての魅力が薄れたことがある。高齢化や若者の車離れで、昨年度の新車販売台数(軽自動車を除く)は約323万台と、過去最高だった90年度の半分強。世界の目は中国などの新興国に向きがちだ。

 「エコ」から一転

 そうした状況を打開しようと今回、日本勢は技術志向を打ち出した。円安を追い風に各社の業績が回復基調にあるのもプラスに作用。世界初披露の車やバイクは11年の前回より4割多い計76台登場した。関係者は「前回までのエコ一辺倒のイメージが変わって華やかになった」と話す。

 「日本には強靱(きょうじん)なものづくりがある」。報道陣への公開が始まる前日の19日、都内のホテルで海外メディア記者を前に、豊田氏ら各社の首脳が英語でスピーチした。

 富士重工業の吉永泰之社長は「北京のモーターショーでは昔の東京ショーのような熱気を感じる。今の東京のショーに世界が期待しているのは、技術進化の方向性が分かるということだ」と役割の違いを説明した。(SANKEI EXPRESS

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