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【鈴木明子のHAPPY SKATING】演技構成点の高評価に手応え
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ラストシーズンは、一つ一つの大会に出場するたびに、かつてのさまざまな思い出が頭を駆け巡ったりもします。
11月8~10日に行われたグランプリ(GP)シリーズ第4戦のNHK杯。私は10月下旬のスケートカナダに続いての出場となりました。
摂食障害を乗り越え、再びリンクに戻り、ようやくトップスケーターと戦える舞台までたどりつき、最初に出場したGPが2008年のNHK杯でした。このときの結果は2位。10年のバンクーバー五輪への挑戦もこの大会を機に本格化していったと言っても過言ではない大会となりました。
それゆえに感慨深さもひとしおでした。(11月)7日、公式練習後に都内のホテルで行われた記者会見。意気込みを聞かれた私はマイクを手にこう話しました。
「初めて出たGPシリーズもNHK杯でした。最後のシーズンと位置づける今季、またこのNHK杯で滑ることができることに縁を感じます。自分にとってもうれしいですし、ベストを尽くしたいと思っています」
会場は東京・国立代々木競技場。昨季の最終戦となった世界国別対抗戦で、私はフリーとともに総合得点でも自己ベストとなる199.58点をマークした縁起の良い場所でもあります。
毎回のことですが、日本開催では会場の声援もひときわ大きく、気持ち良く滑ることができました。
結果はSPで2位スタートでしたが、フリーはミスも出て3位に終わり、総合順位も3位でした。大会前に「ファイナル(12月5~7日、マリンメッセ福岡)進出も、この試合で決まるように、そういう滑りをすることが目標です」と意気込みを語っていたのですが、ファイナル進出はなりませんでした。
フリーでは、冒頭に予定していた3連続ジャンプでミスしてしまいました。跳ぶ瞬間にエッジがすっぽ抜けてしまい、とっさに降りてしまったのです。スケートカナダでは、次の連続ジャンプを3連続に変えて挽回できたのですが、今回は焦った気持ちのほうが強くなってしまい、強気に気持ちを切り替えて滑ることができませんでした。
スケートカナダでまずまずの演技ができたことで、自分でもNHK杯では求めるものが大きくなってたように思います。「前回よりも良い演技をしよう」と思って練習してきましたが、失敗を恐れて、攻めるよりも守ってしまう部分が出ちゃったのかなと思います。
シーズンは佳境へと入っていき、ソチ五輪の代表を決める全日本選手権も近づいてきています。しっかりと反省し、次に生かさないといけません。
GP2戦を終え、自分なりに自信になったところは、(表現力などを示す)演技構成点がミスをしたときでも、高く評価されていることです。ジャッジに自分のプログラムがどう見てもらえているのかがわかり、手応えがつかめつつあります。
もちろん、高得点につなげるには、しっかりとジャンプなどを跳んで技術点が取れてこそだとも痛感しています。せっかく演技構成点で良い点数をもらえているのに、技術点を下げてしまってはいけません。試合でジャンプをクリーンにミスなく跳ぶことが課題としても見えてきました。
スケーターには、大会ごとにフリー終了から一夜明けの取材というのが設定されています。NHK杯のフリー翌日の取材では、フリーで滑っているミュージカル「オペラ座の怪人」についての質問がありました。
スケートファンならご存じの通り、幾多の名選手が滑ってきた曲でもあります。現役最後のシーズンにこの曲を持ってきた理由は、自分がオペラ座をみて感じたことを滑りで表現したいと思ったことと、振り付けを担当してくれているパスカーレ・カメレンゴ氏がすごく好きな曲で、「明子に表現させるものを作る」と言ってくれたことがきっかけでした。2人の考えが一致し、メーンの旋律をあまり使わないようになっているのが特徴です。
今回の出来からも、自分のものになっていくにはもう少し時間がかかると実感しています。一部のファンの間では、昨季に滑ったシルク・ドゥ・ソレイユの「O(オー)」が大変好評なようで、「またオーがみたい」という声も聞こえてきます。でも、シーズン最後には「あっこちゃんのオペラ座の怪人を見ることができてよかった」と言われるように完成度を高めていきたいです。(フィギュアスケーター 鈴木明子/SANKEI EXPRESS)