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秘密保護法きょう成立 内閣府に第三者機関設置

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秘密保護法きょう成立 内閣府に第三者機関設置

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 機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法案は12月5日の参院国家安全保障特別委員会で自民、公明両党の賛成多数で可決した。与党は5日夜の参院本会議に緊急上程し成立を目指したが、野党側が猛反発し、本会議採決は会期末の6日になる。このため政府・与党が数日間の会期延長の検討に入るなど、与野党の攻防は最終局面にまでもつれ込んだ。

 自民党は5日の特別委の質疑を打ち切る緊急動議を提出、採決に踏み切った。自民党の溝手顕正(みぞて・けんせい)参院議員会長(71)は山崎正昭参院議長(71)に5日の本会議で採決したいとの意向を伝えた。これに対し、民主党などは衆院に比べて法案の審議時間が少ないことを理由に「慎重な審議」を要求。法案の修正で合意している日本(にっぽん)維新の会とみんなの党も特別委の採決を退席した。

 一方、与党は5日、維新、みんな両党と特定秘密指定の妥当性を検証する「第三者機関」について断続的に協議。安倍晋三首相(59)が4日の特別委で示した事務次官らによる「情報保全監視委員会」とは別の組織とし、情報保全監察に関する第三者機関を内閣府に設置することを確認した。

 秘密の指定や解除に関する統一の基準を設けた法律は初めて。政府は「国家安全保障会議(日本版NSC)」創設とセットで今国会に法案を提出。防衛や外交、テロ活動などに関し、漏洩(ろうえい)すると国の安全保障に著しく支障を与える情報を行政機関の長が特定秘密に指定する。これらを扱う公務員らが漏洩した場合、最高懲役10年を科す。

 法案には、一部の特定秘密を除き最長で60年以内に公開することも明記したが、野党は恣意(しい)的な運用や国民の「知る権利」が侵害されるなどの懸念を示してきた。(SANKEI EXPRESS

 ≪漏洩防止 NSC運用へ態勢を整備≫

 参院国家安全保障特別委員会で12月5日午後、自民、公明両党の賛成多数で可決された特定秘密保護法案。野党側が反発を強める中で、与党が早期成立にこだわるのは、4日に発足した「国家安全保障会議(日本版NSC)」の運用に実効性を持たせるため。ただ、成立を急ぐあまり「知る権利」などをめぐる国民の不安が残る結果になった。

 米英と情報共有

 政府は来年1月にNSC事務局「国家安全保障局」を創設する。安保局はこれまで断片的に官邸に報告されていた各省庁の情報を一元的に集約。軍事的な分析も加え政策判断に必要な情報に仕上げ、NSCの中核となる「4大臣会合」に報告する役目を担う。

 ただ、日本はヒューミント(人的情報)を専門とする諜報機関を持たない。安倍首相は4日の党首討論で海外情報収集の能力向上を急ぐ考えを表明したが、人材育成や人的ネットワークづくりは一朝一夕でできるはずはない。当面は高い情報収集力を持つ米英両国のNSCなどとの情報共有を進めるしかないのが現状だ。

 これまで日本の情報保全態勢は国際的に「情報漏洩(ろうえい)への意識が低い」と評価され、情報共有の妨げになってきた。それだけに、野党の一部が現行の国家公務員法(懲役1年以下)や自衛隊法(懲役5年以下)で漏洩は防げると主張するが、欧米並みの情報保全態勢を整備することが急務だった。

 首相が「秘密をしっかり保全する前提で各国は情報を提供する。そのための法律だ」と繰り返し法整備の必要性を強調したのもそのためだ。

 ルールを強化

 国内でも、米軍の機密を扱う防衛省には「漏洩への強い罰則がなければ(他省庁と)共有できない」(幹部)との不安があった。省庁間の相互不信が消えないまま安保局に情報を出し渋れば政策判断に必要な情報が集まらず、NSCは機能不全に陥りかねない。

 別の側面もある。首相は党首討論で2010年の中国漁船衝突事件の映像を「秘密」扱いした民主党政権の対応について「今までルールもチェックもなかった。オープンにすべきものがオープンにされなかった」と批判した。

 すでに恣意(しい)的に秘密が隠されてきたといえるだけに、その時々の政権の影響を排除するためにも秘密の指定や解除に関するルールづくりが必要だった。公開すべき情報は公開する-。これまでなかったルールが整うことになった。(SANKEI EXPRESS

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