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経済
女性社員のネットワークでリーダー育成 米製薬大手メルク日本法人「MSD」の取り組み
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さまざまな年代の女性社員が積極的に参加している=2013年12月18日、東京都千代田区の米製薬大手メルク、日本法人「MSD」(提供写真) 米製薬大手メルクの日本法人、MSD(東京都千代田区)が女性の活躍を促す取り組みに力を入れている。女性社員がネットワークを作り、キャリア形成に向けた問題意識を共有。研修や意見交換会などの自主的な活動を通じて、次代を担う女性リーダー育成につなげるのが狙いだ。
「女性の強み、弱みとそれを踏まえたキャリア形成ってどうすればいいと思う?」「“自分には無理”っていう先入観を持ったら絶対ダメ!」
MSD本社の一室で、女性社員らが議論を戦わす。2011年8月に発足した社内ネットワーク組織「Female Leaders Network」のひとこまだ。各職場に点在し、交流しにくいといった課題を抱える女性社員たちが先輩、後輩の隔てなく率直に意見をぶつけ合い、それぞれが自分の“目指す姿”を明確にしていく。
「ネットワークで得た経験を生かすも殺すも自分次第。すべて参加者自身に委ねられているんです」。メンバー内の取りまとめ役を務める平山清美さん(40)が話す。
この組織は、参加資格や期間などを定めずに活動内容も自由だが、生半可な気持ちではやっていけないという。業務時間内の開催が認められ、運営費なども会社が負担する代わりに、さまざまなテーマについて経営陣に提言することなどが義務付けられている。
これまで開かれた意見交換会や研修などの自主企画イベントには述べ700人近くが参加した。現在活動中のメンバーは管理職(課長職以上)や管理職一歩手前の人ら総勢58人だ。
中には男性社員も2人いる。その1人、佐野俊治さん(46)は研究開発部門の管理職だが「部下の女性社員を戦力にしていくにはどうすればいいかといった視点で参加しています」と明かす。
医薬情報担当者(MR)など営業職を中心に“体育会系”の男社会といわれる日本の製薬会社。MSDも外資系とはいえ、全社員(約4300人)に占める女性の割合は約23%とまだ少数派だ。女性社員が“お手本”にしたいと思える先輩の女性リーダーが社内に少ないという事情も抱える。
このため、米国本社の女性役員が仕事で来日した際には、講師役を引き受けてもらってメンバーとの意見交換会などを随時開催している。「女性役員のみなさんも忙しい合間を縫って快く協力してくれます。メルクは女性の活躍が当たり前の企業風土。自身がどんなキャリアを積んできたか、その軌跡を直接伺うことは大きな刺激になります」(平山さん)。
また、キャリア形成に迷いが生じたときなどは、心を開いて相談できる目上の指導役(メンター)がバックアップしてくれるのも心強い。メンバーがそれぞれの社内人脈を駆使して指導役の適任者を見つけ出し、互いに紹介し合う。人事評価をする直属の上司とは違った立場から、ざっくばらんなアドバイスがもらえる。
生産部門に所属する西由香さん(44)は、紹介された開発部門の先輩社員から「自分より1つ上、2つ上の役職・階層の管理職になったつもりの目線で仕事の全体像をとらえてみるといい」と助言を受けた。西さんは「目先のことでじたばたしている自分に“気づき”を与えてくれた」と振り返る。
MSDはすでに短時間勤務の延長や男女を問わない在宅勤務の導入、社内託児所開設などを矢継ぎ早に打ち出し、仕事と家庭の両立を後押しする手厚い制度も整えている。他社と比較してMR職での女性の活躍なども進む。
会社側の担当アドバイザーを務める執行役員の鈴木康之さん(52)は「制度に甘えてはいけない。性別に関係なく誰もが最高のパフォーマンスを発揮できるかを常に考え、自らを律して行動しなければならない」と強調。その上で「会社からの強制ではなく、自発的・自律的な活動を通じて課題解決に当たることがこのネットワークの最大の強みです」と話す。
これまでに参加した女性社員の中からは、取締役執行役員2人、部長職3人、課長職1人の昇進実績をそれぞれ挙げているという。(SANKEI EXPRESS)