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国際
広がらぬ“安倍包囲網”…焦る韓国 「用日論」を掲げる大手紙も
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東京都千代田区九段北の靖国神社
安倍晋三首相(59)の靖国神社参拝をめぐって激しい批判を続ける韓国メディアの論調に焦りが見え始めた。中韓を除いて「安倍包囲網」が広がらないことも要因とみられ、米国に対し「もっと積極介入し、安倍氏に謝罪させろ」と迫る論調も出た。一方で、日韓首脳会談開催を望む国内世論に押され、是々非々で日本の役割を活用すべきだと「用日論」を社説に掲げる大手紙も現れた。
昨年(2013年)12月26日の安倍氏の靖国参拝以来、社説で安倍批判を繰り返す急先鋒(せんぽう)が韓国の大手紙
12月28日付(電子版)では、中韓の警告を無視した参拝は「米国など主要国は自分を切り捨てないという自信」と「第二次大戦で被害を受けた東南アジア諸国からも支持されていることに力を得た」と分析。安倍氏の「脱線」を止めるよう、韓国は国際社会に働き掛けるべきだと訴えた。
特に米国に対しては(2013年)12月30日付で、日本の軍事力強化を積極的に支援したことが「安倍氏の読み違いを招いた」とし、「日本の歴史歪曲(わいきょく)を人ごとのように放置してきた」とも指摘。「安倍氏に参拝を謝罪させなければ、米国のアジア戦略は根本から揺らぐ。韓国民の心の傷によって米国で生じる被害は日本の資金で埋め合わせられない」と脅しつけた。
ただ、安倍批判の国際世論はさほど盛り上がらず、
これに最も「失望した」のが
一方、別の大手紙
その上で、日韓首脳会談開催に賛成が5割、日韓関係改善に大統領が積極的に取り組むべきとの声が6割近くに上った民間研究所の世論調査を紹介。経済や安保分野で日本の役割を活用する「用日」を提唱した。「日本の正しい歴史認識を促していくものの、それが韓日関係全体を左右しないようバランスの取れたアプローチが求められる。原則よりも国家の利益がさらに重要だ」とも指摘した。
「原則より」とは歴史認識という原理原則にこだわり、首脳会談に応じない朴槿恵(パク・クネ)大統領(61)の姿勢を婉曲(えんきょく)にたしなめたと読み取れる。首相の靖国参拝後、韓国で安倍批判を取り下げる空気にはない中、最大限、大統領に譲歩を迫った形だ。
「日本を用いるべき」とは上から目線に違いはない。ともかく現実路線から「用日」世論に耳を傾けるか、原理原則に固執して国際社会に“告げ口外交”を続けるか。朴大統領のリーダーシップが問われているが、今のところ姿勢に変化の兆しはない。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS)