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鋼鉄警備スルリ 「黒い未亡人」ソチ潜入

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鋼鉄警備スルリ 「黒い未亡人」ソチ潜入

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2014年ソチ冬季五輪会場。競技は、ロシア・ソチの市街地から約40キロ南東にある黒海沿岸の「アドレル」と、アドレルから約45キロ離れた山岳地域の会場「クラースナヤ・パリャーナ」の2カ所で実施。(C)Google  北カフカス地方の独立運動に絡んでロシア治安当局に夫ら肉親を殺され、ロシア国内で自爆テロを繰り返している「黒い未亡人」とみられる女性3人が、2月7日から冬季五輪が開幕するロシア南部ソチに潜入したことが1月21日、分かった。治安当局は3人の行方を追うとともに、(1月)22日、ソチに近い北カフカス地方でイスラム過激派の幹部1人を射殺し、テロを封じ込める姿勢を強調した。だが、ロシア国内では、五輪開幕を間近に控え、治安当局がソチ一帯に構築した「鋼鉄の輪」と呼ばれる強固な警備体制が破られたことに衝撃が広がっている。

 テロ予告勢力と連携

 AP通信や1月20日付英紙デーリー・テレグラフ(電子版)などによると、潜入したのは“サリマ”と呼ばれているルザンナ・イブラギモア容疑者(22)とザイラ・アリエヴァ容疑者(26)、ジャンネット・ツァハエヴァ容疑者(34)。

 ロイター通信などによると、イブラギモア容疑者は露南部ダゲスタン共和国から今月(1月)11~12日にソチ入りしたという。1月20日付米ABCテレビ(電子版)によると、治安当局がソチの空港や主要ホテルに配布した指名手配写真には、左の頬に長さ10センチの傷があり、足を引きずり、左の腕を曲げることができないといった身体的特徴が記されていた。

 イブラギモア容疑者らは、北カフカス地方の独立運動で夫や家族をロシア治安当局に殺された、いわゆる「黒い未亡人」とみられる。

 「黒い未亡人」はテロ現場に黒い服で登場したことからこう呼ばれており、2002年のモスクワ劇場占拠事件や2010年にモスクワ地下鉄駅で起きた連続爆破テロの実行犯だったことがわかっている。最近では昨年(2013年)12月に南部ボルゴグラードで34人が亡くなった連続爆破テロへの関与が指摘されているほか、ソチ五輪へのテロ予告の声明を発表した北カフカスのイスラム武装勢力とも連携してテロ活動を展開しているもようだ。

 「女性は出入り簡単」

 テロ阻止に全力をあげる治安当局は、五輪関連施設を囲む96キロ×40キロの範囲を「鋼鉄の輪」と位置づけ、警察官や保安要員計約4万人を配置。観光客から地元住民までくまなく監視するなど厳重警戒を続けてきたが、3人は警備網を突破してソチ周辺に潜り込んだとみられる。

 この“失態”に関し、ロシアのテロ組織に詳しい米ジョージタウン大学のクリストファー・スイフト教授は米ABCテレビに「3人の潜入時期が『鋼鉄の輪』の稼働前か後か確かでないが、ロシアの警備能力に疑問を感じざるを得ない」と明言。

 加えて「自爆テロが実行されるなら単独ではなくグループ形式だろう。女性は簡単に会場などあちこちに出入りできるので心配だ」と警告した。

 また、今回の事態を重視した米国政府は、バラク・オバマ大統領(52)とウラジーミル・プーチン大統領(61)がソチ五輪での安全確保の最善策について電話で協議し、米側もテロ阻止に向け、ロシア側に全面協力すると表明。五輪観戦で現地入りする1万5000人の米国人の安全確保のため、黒海に軍艦2隻や輸送機などを待機させるという。(SANKEI EXPRESS

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