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優駿二世 北海道ですくすく 体重300キロ 走る姿に圧倒

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優駿二世 北海道ですくすく 体重300キロ 走る姿に圧倒

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 ディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライ、ダイワメジャー、ゼンノロブロイ…。いずれも一世を風靡(ふうび)した競馬ファン垂涎(すいぜん)の「優駿」たちだ。その子供たちが、北海道安平町(あびらちょう)の馬生産牧場「追分ファーム」で昨年(2013年)1月から3月にかけて次々と生まれ、寒さをものともせずすくすくと育っている。

 見渡す限り銀世界の追分ファームには、現在体重300キロほどに育った優駿の二世馬約40頭が暮らしている。馬はいつ生まれても翌年(2014年)1月1日に1歳と数えるため、みんな1歳馬の同級生だ。

 気温マイナス5度、まだ夜の明けきらない朝6時半。3グループに分けられた子馬たちがつぎつぎと放牧地に放たれた。人間でいうと小学生くらいにあたる無邪気な子馬たちだ。競馬場で目にする成長したサラブレッドと比べると筋肉も少なく幼さが残る。それでも集団で雪を巻き上げながら走る姿はダイナミックで思わず圧倒される。

 ≪自由なじゃれ合いが名馬をつくる≫

 許可を得て放牧地の柵内で撮影していたが、近づいてくる子馬たちにあっという間に囲まれ、カメラを鼻で押しのけたり、記者の襟や袖を引っ張るなどいたずらを始めた。

 どうやら手荒い歓迎らしい。子馬たちは雪をかき分けて草を食べたり、後ろ足で立ち上がって仲間とじゃれ合うなど、1日7~8時間、放牧地で自由に過ごす。自然のなかで寒さや環境に耐え、無駄なストレスがない幼少期を送ることが、強い競走馬をつくる秘訣(ひけつ)だという。

 子馬たちは今夏から鞍を付けて人を乗せるなど、競走馬としての訓練をスタート、来年にはレースデビューする。なかには1億円以上の値がつく馬や、すでにJRAトレーニングセンターの有名厩舎(きゅうしゃ)への入厩が決まっている馬もいる。

 追分(おいわけ)ファームの厩舎長の土屋利文さん(32)は、「親になった気持ちで、毎日馬と接しています。ビッグレースで勝つ強い馬になってほしい。その半面、『無事之名馬(ぶじこれめいば)』という言葉にもあるように、丈夫な馬に育ってけがなく長く走り続けてほしいというのが本音です」と話した。

 今年は午年。厳しい競馬の世界で生きる定めとなった子馬たちは、今はまだおちゃめで人なつこい。だが、粉雪と戯れる姿はまるで勝負の世界で闘うための英気を養っているようだった。(写真・文:写真報道局 鈴木健児/SANKEI EXPRESS

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