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和太鼓の原点、日本文化に回帰 舞台「DRUM ROCK ~十七人のサムライ~」 TAO

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和太鼓の原点、日本文化に回帰 舞台「DRUM ROCK ~十七人のサムライ~」 TAO

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伝統楽器である和太鼓を使って、斬新な世界観を表現するエンターテインメント集団「TAO(タオ)」のステージ。海外からも注目を集めている=2013年5月17日(提供写真)  伝統の殻を破る革新者。和のリズムにロックなど他流も取り入れバチを振るい、荒ぶる音で観客を鼓舞する-。和太鼓演奏によるエンターテインメント集団「TAO(タオ)」が結成20周年を記念した新作舞台「DRUM ROCK ~十七人のサムライ~」をひっさげ、名古屋、大阪、東京の3都市で上演する。

 TAOの結成は1993年。「音響や照明でショーアップしたエンターテインメント性の高い舞台作品を目指しました」と初期からのメンバ-、水藤義徳(すいとう・よしのり、40)は言う。そのためTAOのオリジナル楽曲は、祭りばやしや民謡など和太鼓のオーソドックスなリズムを斬新に変革。洋楽ロックや民族音楽などの要素を取り入れた。また鍛え上げた肉体でアクロバットや演舞なども繰り広げ、和太鼓の新たな表現領域を開拓してきた。

 全員でイメージ共有

 和太鼓が刻むのは、リズムであって、メロディーはない。一見、音の表現は限られている。「だからこそ、演者がどれだけ気持ちを込めて音に変換するかが大切。チーム全員で一つのイメージを共有して演じなければ、見る(聴く)人には伝わらない」と水藤。

 TAOの舞台表現の源となる一体感を培うのは、大分県の久住高原にある「TAOの里」だ。30人のメンバーはそこで共同生活を送る。夏場は全員午前5時に起き、約10キロのランニングのあと、1時間、ひたすら太鼓を打ち込む。毎日、午前中3時間、午後4時間、合同で練習。空き時間は施設の手入れや作曲作業などにあてる。食事は当番制で自炊。「いつも一緒にいるから、メンバー同士が常にイメージを共有できています。今は、生活のすべてをTAOにささげているという感じです」と入団5年目の山口泰明(31)は話す。

 人のために生きる

 そうしてメンバーがアイデアを出し合い、新たに生まれた舞台「十七人のサムライ」は、武士の生きざまなどをイメージした新曲10曲を含む全16曲でつづる音楽絵巻。せりふはないが、ストーリー性のある演出により凛と力強い世界観を表現する。「人のために生きる、というサムライの心意気を明確に打ち出すことで、現代人が忘れかけた日本人の良さに再び目を向けてもらいたい」。江良拓哉(29)は公演に込めたメッセージを語った。

 これまでTAOは北米、アジア、欧州などで演奏ツアーを敢行。「異文化に触れ、改めて日本人が古来から持つ美徳に思い至った。だから20周年を過ぎ、和太鼓の原点である日本文化に回帰しました」と水藤。コシノジュンコによる、和服を近未来的に仕立てたような衣装が、メンバーの鍛え抜かれた肉体美を浮き彫りにする。

 来月からは2カ月間の北米公演もあるという。国を挙げて「クールジャパン」を推し出す今、TAOの動向から目が離せない。(津川綾子/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 1月25日 愛知県芸術劇場(名古屋)。サンデーフォークプロモーション (電)052・320・9100。1月27日 シアターBRAVA!(大阪)。キョードーインフォメーション (電)06・7732・8888。1月31日、2月1日 Bunkamuraオーチャードホール(東京)。キョードー東京(電)0570・550・799

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