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「将来の米大統領候補」 サリバン補佐官に注目
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米国・首都ワシントン
イランと欧米が昨年(2013年)11月に合意した核問題の「第1段階措置」の履行が1月20日から本格化し、交渉の舞台裏を担ったホワイトハウスの若き高官に注目が集まっている。国家安全保障問題でジョセフ・バイデン副大統領(71)の助言役を務めるジェイク・サリバン補佐官(37)。関係者が「10年に1人の逸材」と口をそろえ、次期大統領の有力候補とされるヒラリー・クリントン前国務長官(66)が「将来の大統領候補」と評価してはばからない米政界のホープだ。
サリバン補佐官にスポットライトが当たったのは、イラン核問題の合意に先立ち、バラク・オバマ大統領(52)の密命を受けてウィリアム・バーンズ国務副長官(57)らとともにイラン側と極秘の事前交渉に携わったことが判明したためだ。
交渉の詳細を配信したAP通信によると、サリバン補佐官らは昨年(2013年)3月から少なくとも5回、イラン側とオマーンなどで極秘に接触。2国間対話の可能性の感触を探り、合意に向けた交渉の下地を整える特命を帯びていたという。
国交のない両国の極秘交渉が漏れれば国内の反対派だけでなく、イスラエルなどの反発も確実。交渉能力だけでなく、機密保持に細心の注意を払える冷静沈着さが求められ、サリバン補佐官にも白羽の矢が立ったという。
物事に動じず、実利を重視するプラグマティスト。サリバン補佐官の特質を関係者も「オバマ大統領の生き写しのようだ」とAP通信に語っている。
サリバン補佐官はミネソタ州ミネアポリス出身。エール大法科大学院卒で法曹資格を持ち、ローズ奨学生として英オックスフォード大に留学、国際関係論で修士号を取得した。最高裁判事の事務官、連邦上院議員顧問を歴任した。
2008年の大統領選では巧みな討論術を買われてクリントン前長官の討論会対策を担当。オバマ大統領が民主党候補に指名されると、陣営入りして討論を担当した。
時には「母親のよう」にサリバン補佐官に目をかけるクリントン国務長官の就任で国務省入りし、次席補佐官と包括的な外交政策を立案する政策企画局長を兼任。華麗なる職歴は「30歳半ばにして彼の履歴書には他の人間なら“経歴の白眉”になるような肩書であふれている」(米オンライン紙ミンポスト)と称される。
16年大統領選の最有力候補と目されるクリントン前長官が当選すれば、そのまま外交・安全保障担当の大統領補佐官に任命される可能性が極めて高い人物だ。
サリバン補佐官はクリントン前長官の退任時に地元ミネソタ州に戻り、連邦下院選出馬なども検討したとされる。
だが、人材流出を懸念したホワイトハウス高官は、サリバン補佐官の引き留めにオバマ大統領を“出馬”させることを画策。オバマ大統領とクリントン前長官に同行した12年11月の東南アジア歴訪で、サリバン補佐官が示した手腕が決定的となり、大統領はサリバン補佐官を政権に残るよう説得させる「直接の指令」と電話攻勢で翻意させたという。
サリバン補佐官は関係省庁の担当者が大統領や副大統領に行うブリーフィングに同席し、最高機密を共有しながら政策決定プロセスに立ち会う外交・安全保障チームの核心の一人となっている。
サリバン補佐官が今後の日米関係に果たす役割も注目される。2期目のオバマ政権では、大統領自身が内政、ジョン・ケリー国務長官(70)は中東和平に熱意を注いでおり、過去に上院外交委員長を務めるなど、外交通を自負するバイデン副大統領の存在感は増している。
サリバン補佐官は中国に強い姿勢で臨むことでも知られたクリントン前長官の戦略を構築してきただけに、“弱腰”の批判もあるホワイトハウスの対中姿勢にダイナミズムをもたらせるかが注目される。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS)