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「STAP細胞」世界が称賛 「リケジョ」が開く再生医療新時代

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「STAP細胞」世界が称賛 「リケジョ」が開く再生医療新時代

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新たな万能細胞「STAP(スタップ)細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)」を作製した、理化学研究所の研究ユニットリーダー、小保方(おぼかた)晴子さん。実験では祖母からもらったかっぽう着を白衣代わりに愛用している=2014年1月28日、兵庫県神戸市中央区(伊藤壽一郎撮影)  新たな万能細胞「STAP(スタップ)細胞」を作製した理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダー(30)。1月28日に神戸市の理化学研究所で行われた研究発表に、膝丈よりも短い黒のミニスカート姿で現れた。

 恐れずに聞く

 「新たな生物学メカニズムを発見しました」と切り出した小保方さんは、新型万能細胞「STAP細胞」について、女性らしい表現で「成長した細胞が赤ちゃん細胞になるようなもの」と説明した。

 山中伸弥・京大教授(51)がノーベル賞を受賞した人工多能性幹細胞(iPS細胞)との作製方法の違いをあげたうえで「(妊婦の)胎盤に変化する能力を持っています」と付け加えた。

 AO入試で入った早稲田大学理工学部応用化学科を卒業し、さらに大学院の博士課程を出てから3年。

 「寝る間も惜しんで努力したのが、今回の成果に結びついたのでは」と話す大学時代の指導教官、常田(つねだ)聡早大教授(先進理工学部)は「分からないことがあると専門家に恐れずに聞きに行って突破口を開いていった」と振り返る。

 「リケジョ」(理系女子)の半面、所属するラクロス部ではレギュラーとして活躍(ポジションはAT=アタック)。「おしゃれにも気を使い、洋服や持ち物で凝った物を身につける女性らしい学生だった」という。

 当時は細菌の分離培養法を研究していたが、常田教授には「再生医療の研究をしたい。子宮を病気でなくし、子供を産めなくなった女性を救いたい」と語っていたという。

 STAP細胞は、周囲の環境の変化だけで“万能化”されるのが特徴だ。

 大阪大の水口裕之教授(分子生物学)は「特殊な状況に細胞を置くと初期化(=万能化)が短時間に起こるというのは、ちょっと想像できないくらいすごい発見だ」と舌を巻く。国立成育医療研究センター研究所の阿久津英徳幹細胞・生殖学研究室長も「明日からでもできるような実験。今後、爆発的に研究が広がるだろう」と高く評価する。

 国内外から驚きの声が上がるが、当初、小保方さんの研究には周囲の研究者も疑心暗鬼だった。共同研究者で、マウスにSTAP細胞を移植する実験をした若山照彦・山梨大教授(46)もその一人。「できないだろうと思っていたので、ものすごくびっくりした」と明かす。

 大きな夢に勝負

 こうした独自の成果を後押ししたのが、理研・発生・再生科学総合研究センターの研究体制だ。

 笹井芳樹副センター長によると、センターは「5年、10年で何をしたいか」といったアイデアを重視し、人事委員会で採用を協議する。笹井氏は「うまくいくかは別として、大きな夢に向かって勝負をする。いわばハイリスクハイリターンな研究所」と自己評価する。

 若手の研究者の活躍は、山中教授のノーベル賞受賞に続いて、再生医療の研究を加速させる可能性を秘めている。

 心臓病患者へiPS細胞から作った心筋細胞の移植を目指す澤芳樹・大阪大教授(心臓血管外科)は「ヒトの細胞でできると分かったわけではない。医学や医療へ行くにはたくさんのハードルがある」とした上で、「これからもこういう研究はたくさん出てくるだろう」と、期待を寄せた。

 国内外に衝撃を与えた「STAP細胞」の作製発表。日本の再生医療研究は先行するiPS細胞など世界の最先端を走り、その多くの研究現場で、小保方さんのようなリケジョがなくてはならない存在になっている。

 ≪米チーム、サルで脊椎治療実験≫

 新しい万能細胞「STAP細胞」を使い、米ハーバード大のチームが脊髄損傷のサルを治療する研究を始めていることが1月30日、分かった。人間の細胞を使った作製も研究しているという。小保方晴子さんらの共同研究者でハーバード大のチャールズ・バカンティ教授が、共同通信の取材に答えた。

 人工的に脊髄を損傷してまひを起こさせた複数のサルからSTAP細胞を作製し、移植に利用する実験を2011年から始めているという。

 現在は論文発表の準備をしているため詳細は明らかにできないものの「驚くべき結果が出ている」と話し、回復効果があったと示唆している。

 さらに「最近になって、人間の皮膚にある線維芽細胞からもSTAP細胞を作製してみたが、まだ十分に細胞の性質を明らかにできていない」と述べた。

 理化学研究所も、人間を含む複数種の動物の細胞を使ってSTAP細胞を作ろうと研究を進めている。

 脊髄損傷の治療では、同様の能力を持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使い、慶応大チームがサルの機能回復に成功している。(SANKEI EXPRESS

 ■STAP細胞 体のさまざまな細胞になれる万能細胞の一種。マウスの血液に含まれるリンパ球を約30分間、弱い酸性の溶液に浸し、培養して作製した。

 「刺激が引き金となって多能性を獲得した」という意味の英語の頭文字から名付けた。遺伝子を入れて作る人工多能性幹細胞(iPS細胞)より簡単に短時間で作製できる。

 iPS細胞からは作れない胎盤もできた。人間の細胞で作製できれば、再生医療への応用が期待されるとして研究が進んでいる。

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