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タイ総選挙きょう投票 デモ収束気配なし 混乱拡大は必至 

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タイ総選挙きょう投票 デモ収束気配なし 混乱拡大は必至 

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 タイで2月2日、下院(定数500)の解散に伴う総選挙が行われる。インラック政権退陣と選挙延期を求める反政府デモは収束する気配がみられず、首都バンコクでは1日、発砲などにより6人が負傷した。最大野党・民主党の選挙ボイコットで現政権の信任投票の様相を示す総選挙に、どのような形で参加するか苦慮している有権者も少なくない。

 「不正な選挙には行かず、デモに参加しよう」

 反政府デモ隊を主導するステープ・トゥアクスパン元副首相(64)は1日、春節(旧正月)を祝うバンコクの中華街で、約1万5000人(警察発表)のデモ参加者とともに翌日の選挙を棄権するよう訴えた。

 デモに参加していた男性(66)は「選挙より腐敗した現政権の打倒が先だ」と話した。

 デモ隊は今回、総選挙の不在者投票(1月26日実施)の際に行った投票所の封鎖は行わず、投票所に通じる道路を占拠して妨害する戦術を取る。南部では投票用紙の輸送が阻止されるなど混乱も起きている。

 ネット上などでは、民主主義の基本である投票の権利を否定することが許されるのか、という議論も活発化している。先の不在者投票では、デモ隊が375選挙区のうち83選挙区を投票中止に追い込み、米欧など国際社会からも批判が上がった。

 デモ隊が首都の主要交差点を占拠し始めてから約3週間が経過した。非常事態宣言が出された後も、首都のデモ会場周辺には露店が並び、“お祭り気分”の抗議活動は盛り上がりを見せている。寄付金などで反政府側の資金も潤沢とみられており、南部からデモに参加している女性(40)は「政権を打倒するまで帰らない」と話した。(バンコク 吉村英輝/SANKEI EXPRESS

 ≪タクシン派VS.反政府派 貧困層とエリート層の確執≫

 タイの反政府派は総選挙の延期を求めてデモを続けているが、インラック政権は総選挙を強行する。反政府派が2月2日の投開票を妨害することが予想され、選挙が成り立つかどうかの懸念も出ている。

 Q どんなデモが続いているの?

 A インラック・シナワット首相(46)の兄で2006年のクーデター後に汚職の罪に問われ、国外逃亡したタクシン・チナワット元首相(64)を批判する反政府派と元首相支持派による対立が原因だ。昨年(2013年)11月に与党タイ貢献党がタクシン氏を対象に含めた恩赦法案を下院で可決させたことをきっかけに、反政府派がバンコクの主要な交差点を封鎖したり、政府庁舎を取り囲んだりしている。

 Q 両派はどういう人々なの?

 A タイでは、国王を頂点とし、軍や都市部のエリート層らが中心の政治が続いてきた。タイ社会には家柄や社会的立場を重んじる階層意識がある。その固定化された構造に切り込んだのがタクシン氏だ。ないがしろにされていた北部や東北部の貧困層に手厚い政策を実施し支持を得た。これまでの支配層と貧困層を軸とする確執だよ。

 Q 選挙では解決しないの?

 A タクシン派の支持基盤である北部や東北部が有権者の半数以上を占めるため、総選挙ではタクシン派が勝利するのが確実な情勢だ。反政府派の基盤である最大野党、民主党は、選挙制度を否定しているわけではないけれど、選挙では勝てない弱みがある。票の買収工作などタクシン派の汚職体質を批判し、体制を一新する政治改革を断行してから選挙を実施しなければ解決にならないと訴え、総選挙をボイコットしている。

 Q それでも総選挙は実施されるの?

 A 反政府派は、昨年(2013年)12月から1月にかけて行われた候補者登録を妨害。計28選挙区で候補者がゼロの状態だ。総選挙後に新議会を開催するには、下院500議席中、少なくとも475議席の出席が必要だが、このまま総選挙を行っても議員数が定足数に達しない。議会を開くために再選挙を行わなければならない。

 Q 選挙後状況は変わるの?

 A 政治的に行き詰まるとクーデターで事態打開を図ってきた軍が鍵を握る。今回もクーデターの観測が飛び交っているが、軍には06年にタクシン政権を崩壊させたクーデターで「対立は解消できなかった」との教訓があり慎重姿勢だ。暴力行為の激化で緊張が一層高まれば、軍が前面に出てくることも考えられる。

 かつて国王も政治混乱を調停したが、今回は表立った発言はしていない。総選挙後も体制が変わる見込みはなく、当面、反政府派は抗議行動を展開し、政局の混乱が続きそうだ。(共同/SANKEI EXPRESS

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