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指物技術を駆使したこだわりの家具 Knot
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手作りでありながら、均一な高品質を保つ商品群が並ぶショールーム(2階)
京都御苑から北西に約1.5キロ。烏丸通や河原町通と並び、京都市内の主要な南北の通りのひとつで知られる堀川通沿いという好ロケーションに立地する「Knot(ノット)」は、展示品の販売はもちろん、顧客の要望に応じた注文家具を自社工場で製造・販売するという京都ではほとんど例がないこだわりのビジネスを展開する珍しい家具店。インテリアにこだわる京都人の高い支持を集めている。
京都市営バスの堀川寺ノ内駅を下車して堀川通を北に向かうと、1分ほどで店舗(ショールーム)に到着する。1階、2階各33平方メートルの店内には、重厚で落ち着いた雰囲気と、高い機能性やデザイン性を併せ持つソファセットやいす、テレビ台、ダイニングテーブルなどが並ぶ。近くで見ると、どの商品からも職人のこだわりのようなものが確かに感じられる。
それもそのはず。地元・京都市南区出身の栗山文孝社長(41)はもともと、経営者やショップのオーナーではなく、木と木を組み合わせて作る家具(指物=さしもの)に美しい飾りや紋様を細工する「指物師」をめざしていたのだ。
「もともと、頭の中にあるものを形にする仕事に就きたいと思い、挿し絵やイラストで食べていこうと大阪市内のデザイン専門学校に進んだんですが、たまたまテレビで見た指物師の仕事ぶりに衝撃を受け、これを目指そうと…」
そこで「とりあえず京都市内の家具店に家具職人として入社したんです。20歳の時ですね」。そこで約6年間働き、職人としての腕とビジネス感覚の双方を学び、独立を決意。開業資金をためるため、家具店を辞めてタクシーの運転手に転身した。「案外儲かるもので、1年半で500万ためましたよ。おまけに接客の技術まで身に付けました」
そんな訳でまず2001年、会社を設立。京都府の京北町に広さ約330平方メートルの自社工場(工房)をオープンさせた。「店舗ではなく最初に工場をオープンさせたのは、飲食店や企業のオフィスといった手堅い法人需要に対応したかったから」
同時にビジネスを軌道に乗せながら02年に自社サイトを立ち上げ、05年1月、この店舗をオープン。「サイトを見ました」と京都市内や首都圏から店舗を訪れるインテリアにうるさい富裕層も増えだしたという。
栗山社長の設計図通りビジネスが進んでいるが、設計図通りなのはビジネスだけではない。「うちの製品は合理性とハンドメードの融合をめざしています。家具の世界は変わっていて、きっちりした段取りを経て製品を作るという“リハーサル”がないんです。でもうちは違います。製造の際、木目をどう見せるかといった詳細を綿密に段取りします。何事も“設計図”が重要なんです」
そうしたこだわりで、どの製品も手作りでありながら大量生産品のごとき均一な品質を保っているわけだ。実際、ダイニングテーブルは、ロシア産のナラ材5枚を、木目が正目でつながるように接合している。
加えてチャレンジ精神も忘れない。例えばテレビ台。「広くて幅がある方が見た目も美しい」との理由で長さ2.4メートル、幅40センチ、高さ48センチとあえて大型に。さらに箱物家具であるテレビ台を木箱ではなく横長の額縁のような木枠を幾重にも重ねて作り上げた。そして表側にはさりげなく京の表具師の障子紙…。
また、座る部分を色づけした畳風の和紙で仕上げた「畳ベンチ」など、和を意識しながら洋のデザインを組み合わせた独創的な商品が並ぶ。
栗山社長は「家具をもっとみなさんの日々の生活に溶け込ませ、家具を媒介にして豊かなライフスタイルや文化の創造に貢献したいですね」と抱負を述べた。(文:岡田敏一/撮影:榎本雅弘/SANKEI EXPRESS (動画))
Knot(ノット)
京都市上京区堀川寺之内堅町690。営業時間:午前10時30分~午後8時定休日:水曜日。(電)075・415・7060。www.knot-fp.co.jp/