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【ソチ五輪】日本に勢い呼ぶ 10代パワー 祭典幕開け メダル10個以上狙う
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フィギュアスケート団体男子SPの演技を終え、人さし指を突き上げて「ナンバーワン」のポーズをとる羽生結弦(はにゅう・ゆづる)。日本選手団にこの上ない勢いを呼び込んだ=2014年2月6日、ロシア・ソチのアイスベルク・パレス(大里直也撮影) ソチ冬季五輪は2月7日夜(日本時間8日未明)、ロシア南部ソチのフィシュト五輪スタジアムで開会式が行われ、17日間のスポーツの祭典が開幕。これに先立ち、6日にはフィギュアスケート団体やフリースタイルスキー女子モーグルで競技が始まった。フィギュアスケート団体では日本は、男子ショートプログラム(SP)で羽生結弦(はにゅう・ゆづる)選手(19)=ANA=が97.98点の1位で順位点10点を獲得、勢いを呼び込んだ。今大会で日本選手団は、過去最高だった1998年長野冬季五輪の金5個、総数10個を上回るメダルの獲得を目標に掲げているが、その原動力となるのは、物おじしない度胸を武器とする羽生ら10代の選手たちとみられている。
締めのポーズで右手を突き上げた羽生が、力強く拳を握った。会心の滑りでも「基本的にガッツポーズしないタイプ」が、この日ばかりは込み上げるものがあった。「僕だけのスケートじゃない。日本のために全力を尽くせて良かった」。演技後にお辞儀した先に日の丸があった。団体の先陣を担う責任感を力に変え、この上ない勢いをチームにもたらした。
夢見た舞台に立つと緊張したが、積み重ねた自信は揺るがなかった。2季続けて「パリの散歩道」で滑るSPは、世界歴代最高得点をたたき出した演目だ。「どんなときでも跳べる」と言い切る鮮やかな4回転トーループで幕を開け、3回転半も2連続3回転も全ての要素でジャッジの加点を引き出した。完璧な内容に「自分自身を褒めてあげていい」とうなずいた。
日本チームはペアの高橋成美(なるみ)、木原龍一組(木下ク)も46.56点の8位と健闘、順位点3点を獲得して合計で4位スタートとなった。羽生はトップバッターの大役を全うするだけでなく、金メダルを期待される個人種目に向けても大きな弾みをつけた形だが、日本選手団では羽生に続く「ミラクル10代」たちが続々と出番を待つ。
その筆頭は、最も金メダルに近いとされるノルディックスキー、ジャンプ女子のエース、高梨沙羅(さら)選手(17)=クラレ=だ。今季のワールドカップ(W杯)で13戦10勝と圧倒的な強さを見せる。
高梨は8歳からジャンプを始め、中学2年で初出場した世界選手権で6位に入賞。身長152センチの小さな体で男性顔負けの距離を飛び、世界のトップレベルまで上り詰めた。「運動神経が良く、何でもできちゃう子。遊んでいる時と練習中では顔が違う。集中力がすごい」と幼なじみで競技仲間の勢藤優花さん(16)=北海道上川町=は話す。
スノーボードの男子ハーフパイプは15歳の平野歩夢(あゆむ)選手(バートン)が堂々のメダル候補。18歳の平岡卓選手(フッド)にも期待がかかる。
平野は、にきびの残る顔がまだあどけない、新潟県村上市の中学3年生だ。「この年で(五輪に)出られるのはチャンス。金メダルを取りたい」とさらりと話す。ボードに乗り始めたのは4歳のころ。小学4年になると、空中技の高さが大手スノーボードメーカーの目に留まり、早くもスポンサーがついた。小学6年の夏から海外を転戦。「同い年でうまい子がいて、衝撃を受けた。海外に出るようになってから緊張しなくなった」。13年1月、トッププロが集まる大会で、五輪2連覇中の王者ショーン・ホワイト選手(米国)に次ぐ2位に入り、観客をどよめかせた。
橋本聖子選手団長(49)は掲げたメダル獲得目標について、「やってきた成果を果たせることができれば、超えられない目標ではない」と息巻く。日本の10代が、世界を震撼(しんかん)させる時が来た。(SANKEI EXPRESS (動画))