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【ジャンプ】7度目葛西「銀」 挑戦は続く 「45、49歳でも…行けるところまで」

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【ジャンプ】7度目葛西「銀」 挑戦は続く 「45、49歳でも…行けるところまで」

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【ソチ五輪】ジャンプ男子ラージヒル=2014年2月15日、ロシア・ソチ、※上段は1回目、下段は2回目、丸数字は順位、カッコ内は飛距離  「レジェンド(伝説)」と呼ばれる男が、ついに念願の個人メダルをつかんだ。ソチ五輪第9日の2月15日、7大会連続出場の葛西紀明(41)=土屋ホーム=がノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒルで銀メダルに輝き、冬季五輪で日本の最年長メダリストとなった。ジャンプの表彰台は1998年長野五輪以来16年ぶり。主将を務める日本選手団に今大会5個目のメダルをもたらした。

 伊東大貴(28)=雪印メグミルク=は9位、清水礼留飛(20)=雪印メグミルク=は10位、竹内択(26)=北野建設=は13位だった。

 葛西は1回目に139メートルを飛んで2位につけ、2回目も133.5メートルを飛んで合計277.4点をマークした。優勝は278.7点のカミル・ストッホ(26)=ポーランド=で、9日に行われたノーマルヒルとの2冠を達成した。

 うれしさ全身で

 最後に飛んだストッホが首位に立ち、銀メダルが決まった瞬間、葛西は悔しそうに眉間をゆがめ天を仰いだ。だが、その顔はすぐ苦笑いとなり、会心の笑顔へと変わった。

 フラワーセレモニーでは壇上で飛びはねて派手なガッツポーズ。「応援してくれる人たちに、自分の今までやってきたこと、うれしさを表現したかった」。7度目の五輪でようやく手にした個人のメダル。晴れやかに胸を張った。

 その競技人生は平坦(へいたん)ではなかった。17年前、母、幸子さんを火事の後遺症で亡くした。難病を患う5歳下の妹、久美子さん(36)は今も闘病中だ。所属先は2度にわたって廃部。長野五輪では直前に左足首を痛め、金メダルを獲得した団体のメンバーから漏れた。歯を食いしばって飛び続けてきた。

 だが、五輪の表彰台は遠かった。94年リレハンメルで団体銀に輝いたものの、個人ではこの時の5位が最高。「すごく意気込んだり、『成績を出さないといけない』とプレッシャーを感じながらやっていた」と、いつも気負って空回りした。

 イメトレで涙

 日本選手団主将として迎えたソチ五輪。

 試合の合間を縫って、モーグル女子など他競技の応援に出かけた。「メダルを取れた人、取れない人の気持ちを察しながら、自分はどうなるかと葛藤していた」。勝負の空気に身をさらし、「逃げるわけにいかない。必ず自力でもぎ取る」と心を固めた。試合の朝、イメージトレーニングで金メダルを取る自分を思い浮かべると、涙があふれた。

 腰を痛め前日の公式練習は回避。この日の試技も強風により途中で中止となった。

 ぶっつけ本番の難しい1回目、スタートゲートに付くと軽く笑った。「上半身に力が入っているのが分かったから」。リラックスを図り、ヒルサイズに迫る139メートルの大ジャンプを決めた。

 悲願のメダルを獲得しても葛西のジャンプへの情熱は衰えない。引き揚げてきた取材エリアで、「涙を出す用意をしてたけど、ゴールドメダルじゃないと出ないね」と苦笑い。改めて金メダルへの意欲を示した。さらに41歳の“レジェンド”は「たぶん次の(五輪の)45歳、49歳と自分の体力や技術はもっと向上すると思っている。(金メダルを)諦めず行ける所まで行きたい」「スキージャンプを愛している。飛んでいることが楽しくて、勝つことに快感を感じている。負けることも多いけど、これからも優勝を狙っていきたい」と宣言した。

 限りなき挑戦はさらに続く。(SANKEI EXPRESS (動画))

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