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ソチ五輪へ 静謐の氷上 弾ける笑顔

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ソチ五輪へ 静謐の氷上 弾ける笑顔

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2014年ソチ冬季五輪会場=2014年2月7日~2月23日(開催期間)、ロシア・ソチ  不思議な競技だ。静謐(せいひつ)が似合うスポーツとしては、射撃やアーチェリーに近い。氷上のチェスとも称される。先攻後攻がありエンド(イニング)があるところは、どこか野球にも似る。

 カーリングの発祥は、ゴルフと同様にスコットランド。よほど遊びの天才を生む土地柄らしい。氷上を滑るストーンは重さ20キロ。これを40メートル先で相手のストーンと陣取り合戦をするのだから、筋力も集中力も戦略戦術も必要とする。

 女子日本代表の北海道銀行チームがノルウェーを下し、ソチ五輪切符を手にした最終予選など、まさに手に汗握る試合だった。これほど見る者をはらはら、どきどきさせるゲームも珍しいのではないか。一投一投で攻守ところが変わり、ゆっくりと氷上を進むストーンの行方に一喜一憂する。

 特に女子の場合、ストーンを凝視する選手たちの表情がまぶしいほどに美しい。仲間にかける指示の声の高さが、耳に心地よく響く。

 トリノ五輪の女子代表の活躍で、競技人気は飛躍した。カーリング娘。略して「カー娘」と呼ばれた彼女らの中から、小笠原(旧姓・小野寺)歩(35)と船山(旧姓・林)弓枝(35)が結婚、出産を経てカムバックした。今度は「カーママ」なんだそうだ。

 北海道常呂町(現・北見市)育ちの幼なじみ。ともに4歳の子供を持つ。小笠原が子供に託されたお守り人形が「ガッツ星人」だったことには笑わされた。

 ゲーム中も笑顔は絶えなかった。これほど試合中に笑顔を見られる競技もまた、珍しい。カーママ2人に加え、苫米地美智子(33)の冷静な笑み、若い小野寺佳歩(22)の弾ける笑顔がチームの苦境を救った。

 とはいえ最終予選2位での五輪行きは、先に切符を手にしていた8カ国を加え、出場10カ国中の最下位当選だったことになる。本番では苦戦も予想されるが、ソチ五輪の楽しみが一つ増えたことをまず喜びたい。

 ≪「金」に近い17歳、伝説の41歳 飛躍の時≫

 ソチ五輪の楽しみは、男女のフィギュアスケートやカーリングばかりではない。

 おそらく今、金メダルに一番近いのは女子ジャンプの17歳、高梨沙羅だろう。12月7日、リレハンメルで行われたワールドカップ(W杯)の今季第1戦では、102メートル、96.5メートルを飛んで合計286.0点で通算10勝目をあげた。

 昨シーズンまで最大の課題だった着地時のテレマーク姿勢も安定し、飛距離では2回ともトップを譲りながら、飛型点を稼いでともに1位の得点をマークした。圧倒的な飛距離を誇りながら、飛型点で順位を譲ることも多かった昨季とは大違い。それでも当人は、飛距離に不満で「うまく力を伝えられなかった」と反省の言葉が口をついた。

 女子ジャンプはソチで初めて正式競技に採用される。高梨には初代五輪女王の期待がかかる。ただ若い競技らしく、W杯では高梨よりさらに若年のホープの台頭が目立った。飛距離も飛型も満足度も、最高の状態で五輪本番に臨んでほしい。

 ジャンプでは男子にも、世界に誇るレジェンドがいる。

 15日、ドイツのティティゼーノイシュタットで行われたW杯で、41歳の葛西紀明が139.5メートル、137.5メートルを飛んで合計292.0点で3位に入り、4シーズンぶりの表彰台にのぼった。歴代世界最年長の表彰台記録である。

 葛西は、1992年アルベールビル五輪に19歳で出場して以来、リレハンメル、長野、ソルトレークシティー、トリノ、バンクーバーと実に6度の五輪を戦ってきた。

 高梨が96年生まれだから、葛西は彼女が生まれる4年も前から五輪ジャンパーだったことになる。

 ソチではカーママも、17歳も41歳も頑張ってほしい。(EX編集部/撮影:AP、ロイター/SANKEI EXPRESS

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