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【フィギュア】女子SP 鈴木、痛みこらえてミス修正
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フィギュアスケート女子ショートプログラム(SP)で演技する鈴木明子=2014年2月19日、ロシア・ソチのアイスベルク・スケーティング・パレス(大里直也撮影) 2月19日のフィギュアスケート女子ショートプログラム(SP)で、前回バンクーバー冬季五輪金メダルの金妍児(キム・ヨナ、韓国)が今季世界最高の74.92点でトップに立った。2位は、74.64点のアデリナ・ソトニコワ(ロシア)、3位は74.12点のカロリナ・コストナー(イタリア)で、ともに自己最高を更新した。ロシアの団体金メダルに貢献した15歳の新星、ユリア・リプニツカヤはジャンプで転倒し、5位と出遅れた。
また、前回8位の鈴木明子(邦和スポーツランド)が日本勢最高の8位につけ、初出場の村上佳菜子(中京大)は15位。前回バンクーバー冬季五輪銀メダルの浅田真央(中京大)は、16位と大きく出遅れた。
20日のフリーで浅田は12番、村上は10番、鈴木は15番で演技。最終組でリプニツカヤは19番、コストナーは20番、ソトニコワが21番で金妍児は最終24番で滑る。(共同/SANKEI EXPRESS (動画))
≪鈴木8位、村上15位≫
大好きで始めたスケートだからこそ、鈴木明子は最後まで笑顔を絶やさずに滑り切った。
実は、ジャンプの調子はどん底だった。優勝した昨年(2013年)末の全日本選手権あたりから、左足の小指にできた血豆の痛みに苦しめられたのが原因だった。左をかばううちに年明けには右の小指も悪化。痛み止めの薬が欠かせない中で跳び続けたが、感覚のずれは修正できていなかった。
自らのスケート人生を舞ったSP曲「愛の賛歌」は出だしから狂いが生じた。冒頭の連続3回転ジャンプがいきなり単発に。それでも、「ミスしても切り替えようと。何度も何度もそうやって試合をしてきた」と続く3回転の後ろに2回転をつけて粘った。
圧巻はスケート人生の幸せをかみしめながら舞った終盤のステップ。ジャンプの失敗を引きずることなく、堂々と笑顔でリズムを刻んだ。「長く滑っていれば、質はよくなる」という言葉に偽りはない。28歳まで磨いてきたスピンとステップは、すべて最高難度のレベル4を獲得した。
最後でもある2度目の五輪。日本人トップの8位にもうれしさはなく、演技後は涙が頬をつたった。「最後は気持ちよく終わりたい」。この日の悔し涙を歓喜の涙にかえてみせる。(田中充/SANKEI EXPRESS (動画))
≪ロシア「2番手」 会心の演技≫
「前回女王」の独走を許さない。SP首位の金妍児(キム・ヨナ)を2位のソトニコワが0.28、3位コストナーが0.80とわずかな点差で追う。
女子のロシア勢初優勝へ望みをつなぎ、大喝采を浴びたのは17歳のソトニコワだ。ロシア選手権を制しながら、五輪では急成長したリプニツカヤの陰に隠れていた「2番手」が、技術点では金妍児を上回った。会心の演技を終えると、感極まって「すごくいい滑りができた。高い技術点が出てうれしい」。ガッツポーズにも力がこもった。
地元五輪を目指す若手として台頭したが、1月の欧州選手権で15歳のリプニツカヤに敗れ、今大会の団体では出番がなかった。その悔しさを晴らす好発進だった。
3度目の五輪となる27歳のコストナーは、白を基調にした衣装で「アベマリア」を優雅に演じた。演技点はただ一人の36点台で、圧巻の表現力を見せた。「好きなスケートでこの場に立ててとても幸せ」と満足そうだ。
過去2度の五輪では、重圧に沈んだ。今回は演技直前で難度を上げた、冒頭の2連続3回転ジャンプも成功。初の表彰台も視野に入れたが、フリーへ向けては「(メダルを)考えすぎないことが鍵」と平常心を強調した。(共同/SANKEI EXPRESS (動画))
≪村上 大舞台の重圧≫
得点表示を待つ村上の表情は、いまにも泣きだしそうだった。自己ベストに11.04点も及ばない55.60点が出ると、山田満知子コーチに「ごめんなさい、ごめんなさい」。
「五輪という試合の圧迫があって、圧倒された」。最初の2連続3回転ジャンプは、鮮やかに成功。だが、3回転フリップへの助走でスピードに乗れず1回転となって、暗転。
SPのテーマに掲げたのは、画家ドラクロワの代表作「民衆を導く自由の女神」のような力強い女性だった。成績が伸び悩み、スケート靴も合わずに練習でも泣いてばかりの毎日だった2シーズン前、苦しみながら成長を続けた思い出の演目。序盤で不振に陥った今季も、この演目への変更で勢いを取り戻し、代表を勝ち取った。
負けず嫌いの村上らしく、「悔しさを忘れるくらい、迫力のある演技をしたい」と意欲を見せた。(共同/SANKEI EXPRESS (動画))