SankeiBiz for mobile

ウクライナ 大統領選前倒しを表明、衝突死者77人に 過激民族主義勢力、混乱に乗じ台頭

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

ウクライナ 大統領選前倒しを表明、衝突死者77人に 過激民族主義勢力、混乱に乗じ台頭

更新

ウクライナ・首都キエフ市街  ウクライナの首都キエフで反政権デモ隊と治安部隊の衝突が拡大し、欧州連合(EU)や米国がヤヌコビッチ政権に対する制裁実施の動きを強めている。だが、問題を複雑にしているのは、おおむね平和的だった昨年(2013年)11月以来のデモがここにきて急速に暴力化し、それが政権側の報復的な強硬措置を招いたという構図だ。政権と野党の双方にとって制御不能となりつつあるデモの中核に、過激な民族主義勢力の存在がある。

 「右派セクター」形成

 デモ隊が占拠するキエフ中心部の独立広場。火炎瓶が飛び交って広場や周辺の建物が激しく燃え上がり、現地からの映像ではデモ隊側が小銃を発射していることも確認された。2月18日に再燃した大規模衝突の光景は、特設ステージで演説やイベントが行われてきた平和的なデモとはほど遠い。

 「われわれはいかなる合意もしておらず、立ち上がった民衆による攻撃は続かねばならない」

 ビクトル・ヤヌコビッチ大統領と野党3指導者が「停戦」に合意した直後の20日、過激な民族主義勢力の連合体「右派セクター」がこんな声明を出し、大規模衝突は再燃した。

 ウクライナ人の解放や独立国家を希求する民族主義が、思想的な体系を得たのは20世紀初頭。現在の民族主義勢力は特に、第二次大戦期から1950年代まで対ソ連パルチザン闘争を行ったウクライナ蜂起軍(UPA)の指導者、ステパン・バンデラ(1909~59年)の影響を受けているとされる。

 国の西部を基盤とする親欧米派、東部の親ロシア派という二大政治勢力の間で民族派はごく目立たない存在にすぎず、2012年の議会選で民族派野党「自由」がようやく約10%を得票した程度だ。

 だが、昨年(2013年)12月には複数のグループによって「右派セクター」が形成され、過激勢力が存在感を増した。

 各地で占拠や襲撃

 ウクライナの著名政治専門家、フェセンコ氏は「独立広場の勢力が全て民族主義者ではない」と断りつつ、「国が危機的な状況に陥ったことが過激民族主義者を勢いづけた。彼らは一連のデモに乗じて自らの支持拡大を狙っている」と現状を分析する。

 支持基盤などの面では親欧米派と重なる過激民族主義勢力だが、親露派のヤヌコビッチ政権を「占領体制」と見なし、暴力も辞さずに政権打倒を目指している点は異なる。過激派は、西部のリビウなど各地でも行政庁舎の占拠や治安機関襲撃を行っている。

 ヤヌコビッチ氏が大統領職にとどまれば武装闘争が続く可能性があり、親欧米派や民族派が政権に就けば東部の猛反発が避けられない-。

 過激民族主義勢力の存在が、情勢正常化の行方に影を落とす要因であるのは間違いない。(モスクワ 遠藤良介/SANKEI EXPRESS (動画))

ランキング