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【フィギュア】17歳の意地 頂点へ駆け上がる
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フィギュアスケート女子フリーで、会心の演技をするアデリア・ソトニコワ(ロシア)=2014年2月20日、ロシア・ソチのアイスベルク・スケーティング・パレス(代表撮影) □SOCHI OLYMPICS
ソチ冬季五輪第14日(2月20日)に行われたフィギュアスケート女子フリー。アデリナ・ソトニコワが、この種目でロシア勢初の金メダルを手にした。
スタンドでロシア国旗が揺れる中、達成感で心が震えた。「小差だったから、金メダルを目指して戦った」というフリーの演技を終えた瞬間、感激にソトニコワの表情が崩れた。SP2位から金妍児(キム・ヨナ)を逆転し、闘争心あふれる17歳の伏兵がこの種目でロシア初の五輪女王となった。
団体ではSP、フリーとも15歳の新星リプニツカヤに出番を奪われた。「とても悔しかった。個人でメダルを取ろうと心に決めた」。フリーとの合計は自己ベストを22.23点も更新する世界歴代2位の高得点。
期待と重圧にも物おじせず、次々とジャンプを成功させた。冒頭で高難度の3回転ルッツ-3回転トーループを見事に決め、その後も高さと力強さあふれるジャンプで着氷のたびに大歓声を呼び込んだ。3回転ジャンプの数では、金妍児を上回った。技術点は「自分の目を信じられなかった」という高得点の75.54。これで69.69点の金妍児に大差をつけた。
4歳でスケートを始め、2008年に12歳でロシア選手権を制した。プーチン大統領からも注目された天才少女は国内の激しい競争の中、浮き沈みを続けた。浅田真央も師事したタラソワ・コーチの指導などで成長し、母国での大舞台で一気に頂点に駆け上がった。
難病と闘う妹にささげる金メダルでもあった。「今季はつらかったけど、五輪に調子を合わせられた。信じられない気持ち」と喜びに浸った。
≪ヨナ 優雅に「アディオス(さようなら)」≫
女子のフリーの最後を飾ったのは、23歳の前回女王、金妍児(キム・ヨナ)だった。4分間の演技は優雅で、技の狂いもほとんどなかった。得点が表示され、2位となっても悔しさを見せない。「120点の出来。重圧があったけど、肩の荷が下りた」と晴れ晴れとした笑みを浮かべた。
得点源の3回転ルッツ-3回転トーループは危なげなく、柔らかく着氷。演技はほぼ完璧だったが、スピン、ステップで2つが最高難度のレベル4ではなく、3にとどまった。ソトニコワはすべてレベル4。表現力を示す演技点でわずかに上回ったが、技術点の差で逆転を許した。
それでも「私にとってはこの五輪に出場することが重要だった」と強調した。バンクーバー冬季五輪の金メダルで、母国のスーパースターとなった。五輪後に休養したことに対して国内から批判も起こり、胸を痛めた。
新たなモチベーションを胸に臨んだ最後の五輪。黒と紫のコスチュームで、別れを描いたタンゴの名曲「アディオス・ノニーノ」に身を任せた。真骨頂と言える情感あふれる演技は、見る者を引き込んだ。
史上3人目の2連覇を逃したが「とてもほっとした。複雑な気持ち」と話した。記者会見では「これは私の最後の大会になる」と、引退の考えが変わらないことを明言した。圧倒的な存在感はそのままに銀盤を去った。(共同/SANKEI EXPRESS (動画))