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【フィギュア】団体、露が初代王者 「王国復活」リンク包む熱狂
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フィギュアスケート団体の順位(上位5チーム)=2014年2月9日、ロシア・ソチのアイスベルク・スケーティング・パレス ソチ冬季五輪第3日の2月9日、新種目のフィギュアスケート団体の男女シングルとアイスダンスのフリーが行われ、ロシアが全8種目の順位点合計75点で初代王者となった。ロシアは全競技を通じて大会最初の金メダルを獲得。銀は65点のカナダ、銅は60点の米国で、日本は51点で5位だった。1991年の旧ソ連崩壊以降、ロシアは競技環境の激変による影響などもあって前回バンクーバー冬季五輪では50年ぶりにフィギュアで金メダルなしと低迷。復活をかけた自国の五輪で、31歳の五輪金メダリストから15歳の新鋭までそろえた“ドリームチーム”が、国家の威信をかけて勝利をつかみとった。
優勝が決まった瞬間、会場のアイスベルク・パレス内は、ロシア国旗を掲げる観客たちの大歓声に包まれた。男女のシングルとペア、アイスダンスの4つで総合力を競う種目で、ロシアが圧倒的な強さを見せつけた。女子は15歳のリプニツカヤがショートプログラム(SP)とフリーともに滑っていずれもトップで、世界チャンピオンのボロソジャル、トランコフ組らが滑ったペアも完全制覇。金1個を含む3つの五輪メダルを持ち、「皇帝」と称される男子のプルシェンコも31歳ながらSP、フリーの両方を滑り、それぞれ2位、1位と貢献した。
フィギュア史上最多に並ぶ通算4個目のメダルを首に提げたプルシェンコは「こんな雰囲気は生涯初めての経験。私たちのチームは素晴らしい」と喜びを表現した。
4年前のバンクーバー五輪では、プルシェンコが銀に終わって男子の連覇が4で途絶え、ペアも旧ソ連時代から含めての連覇が12でストップ。金メダルなしの結果に終わった。旧ソ連崩壊後、優秀なコーチの国外流出や施設の老朽化でスポーツ環境が悪化した影響が要因として指摘された。
しかし、ソチ五輪開催を主導したプーチン政権でスポーツ強化が図られ、スポーツ予算も拡大。冬季競技だけで年間160億ルーブル(約480億円)を強化や施設建設に充ててきた。こうした国策の強化が実ったのが、今回の最強チームだった。
女子SP、フリーとも1位と活躍したリプニツカヤは「この気持ちをどう表現すればいいのか分からない。ロシア初の金メダルに貢献できてうれしい」とあどけなく笑った。
この日、男子フリーで1位となったプルシェンコは、2回組み込める4回転ジャンプを1つにとどめた。「フリーにはユヅ(羽生)と(カナダの)チャンが出てこなかったから、あれで十分だった」と余裕綽々で微笑んだ。総合力が問われる新種目で圧倒的な強さを見せつけ、プルシェンコを長年指導する名伯楽のミシン・コーチは「再びロシアがフィギュアを制覇することができる」と冗舌に話した。
足を踏みならすなどロシアの熱狂的な応援は、他の国の選手すら驚くほどだった。観客席で見守ったウラジーミル・プーチン大統領(61)は「よく頑張った」とメンバーを直接たたえ、立役者のリプニツカヤの頭をなでた。国の威信をかけた五輪でフィギュア王国復活への足場を築き、国民の心もつかんだ。(SANKEI EXPRESS (動画))