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経常赤字 過去最大1兆5890億円 1月 貿易収支大幅悪化

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経常赤字 過去最大1兆5890億円 1月 貿易収支大幅悪化

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経常収支の推移(2013年1月~2014年1月)=2014年3月10日(財務省発表)、※2013年10月以降は速報値  財務省が3月10日発表した1月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は1兆5890億円の赤字だった。貿易収支の大幅悪化が主因。単月の赤字額では前月の6386億円を抜き、比較可能な1985年以降で最大となった。

 経常赤字は初の4カ月連続で、赤字額は初めて1兆円を超えた。2013年4月~14年1月の経常収支の累計は1300億円程度の黒字にとどまり、13年度全体でも収支がマイナスになる可能性が浮上している。

 経常黒字を前提に保たれてきた日本の財政に対する市場の信頼が揺らぐ懸念が出ており、赤字傾向が定着すると国債が売られて金利上昇を招く恐れもある。安倍晋三首相は10日の参院予算委員会で「経常収支の急速な変化を回避する観点から、経済再生を進めることが重要だ」との考えを表明。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は記者会見で「中長期で見れば収支は改善していく」との見方を示した。

 経常収支の内訳をみると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が2兆3454億円の赤字。赤字額は比較可能な1996年以降で最大となった。

 輸出は前年同月比16.7%増の5兆5167億円、輸入は30.3%増の7兆8620億円。輸入額も96年以降で最大。原発停止に伴い火力発電の燃料に使う原油や液化天然ガス(LNG)を中心とした輸入が、自動車などの輸出の伸びを上回った。円安傾向も輸入額を膨らませた。

 海外投資から得られる利子や配当などの所得収支(寄付や贈与を除く)は1兆3374億円の黒字。貨物輸送や旅行に伴うサービス収支は4674億円の赤字だった。

 国際収支は今回の1月分から集計方式が変更された。貿易収支とサービス収支の間で項目の入れ替えがあり、貿易収支は同じ基準でさかのぼれるのは96年までとなった。経常収支は従来通り85年まで比較できる。

 ≪成長減速鮮明 アベノミクス正念場≫

 貿易や投資など海外との取引状況を示す経常収支の赤字がかさみ、1月は1兆円を突破した。原発停止で燃料輸入が拡大する一方、輸出は伸び悩み、2013年度全体でも赤字に陥る懸念がぬぐえない。外需の不振に加え設備投資も低調で、昨年(2013年)10~12月期の国内総生産(GDP)改定値も速報値から下方修正された。成長の減速が鮮明となり、アベノミクスは試練の時を迎えた。

 安倍政権の誤算は、円安が進み日本企業に有利な状況にもかかわらず、輸出がさほど増えないことだ。企業が生産拠点を海外に移す流れは変わらず、かつて世界を席巻した家電メーカーも競争力を失っている。

 緊迫するウクライナ情勢や新興国の成長鈍化など海外経済の不安要素も多く、日本経済を再生する上で外需に過度な期待を寄せることはできない状況といえる。

 14年1~3月期のGDP成長率は内需が支えて持ち直すとみられるが、問題は4月の消費税増税後だ。4~6月期はマイナス成長に陥ることが確実視され、7~9月期以降にどの程度改善するかも不透明だ。

 政府、日銀に景気てこ入れを求める声が高まりそうだが、経常赤字が定着すると国の借金を国内資金だけで賄っていけないと市場からみなされ、財政への信頼が低下する恐れもある。安倍政権は、これまで以上に景気と財政の双方に目配りした難しい政策運営を強いられている。(SANKEI EXPRESS

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