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個性と大衆性が絶妙にブレンド オワリカラ
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4人組のバンド「オワリカラ」(提供写真) 曲の展開が読めない。アバンギャルドな雰囲気だが、なぜだか耳に残る。このバンドを最初に聴いた時の印象をはっきり覚えている。
音楽はみんなで口ずさめて共感できる強みや喜びがある一方で、人がアッと驚くようなひらめきやアイデアを前衛的なアートのように描くこともできる。
オワリカラは、その最新作「サイハテ・ソングス」で、その絶妙なバランスを手にすることができたと感じる。圧倒的な個性をその音楽の本質に持ちながら、聴く側の間口を広げ、初めて彼らの音楽を聴いた人をも引き付けることができるという、彼らなりにたどりついた答えがアルバムを聴くと浮かび上がってくる。
メンバーに直接話を聞いたところ、ボーカルでソングライターのタカハシヒョウリは「最高傑作ができたと思っています。今までの3枚のアルバムは、頭でっかちという感じで(スタジオで)制作していましたが、今作はライブでお客さんに聴かせながら作っていきました。今まではつかみどころがない変なバンドという感じがしていたかもしれませんが(笑)、このアルバムはバンドの姿や思いが目の前に見えるようなアルバムだと思います。新しい名刺のようなものでしょうか」と語った。
ドラムのカワノは「頭で考えたフレーズではなく体から出てきた本能的なものを採用し、シンプルなところへ落ち着いた」と制作を振り返った。
「今までの作品で得た経験によって作られた輪を、いったんこじ開けて外すように、新しいものを表現したいと考えていました。今回は表現をこねくり回すようなものよりも、ストレートにさらけ出すようなものにしたかった」というタカハシは、自分の過去のユニークな行動を年表のように歌った「黒歴史にOK!」や、最果てまで声を届けたいと歌う「サイハテソング」まで、自分自身の過去や歌に込めた思いを表現している。そしてそれらの曲は、メロディーが引き立つようにアレンジされていて、ユニークだが耳になじむ印象を受ける。
「ポップスとアバンギャルドをつなげるようなアーティスト、デビッド・ボウイなどが好きなんです」と語るタカハシが言う通り、個性と大衆性が絶妙にブレンドされて、彼らしか描けない世界が楽しめるアルバムだ。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)