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【相川梨絵のバヌアツ通信】日本援助で2大プロジェクト進行中

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【相川梨絵のバヌアツ通信】日本援助で2大プロジェクト進行中

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 新たな国際埠頭建設

 バヌアツでは、現在、日本の援助によって2つの大きなプロジェクトが進行中です。

 1つは港。2010年に老朽化が進んでいた港を日本が約17億円の無償援助で一部修復しました。しかし、未だ老朽化は深刻で、15年には代替施設が必要だと言われていました。バヌアツへの物資は、ほとんどが船便。その窓口となる港が脆弱(ぜいじゃく)であれば、今後のバヌアツ経済への影響も懸念されます。また、近年、観光船が年間100隻以上も寄港するようになり、貨物船がスムーズに入港できない状態です。観光船を待つ間、チャーター費がかさみ、その費用がそのままコンテナ内の荷物に上乗せされて私たちの元へ届いています。これも、バヌアツ国民の財布には厳しい現状です。新たな貨物船専用の国際埠頭の建設は、まさにバヌアツの悲願。そこで、日本が約50億円の円借款を決定しました。ただ今、コンサルタントが港を設計中です。建設予定地は、現在、国内船の船着き場ですが、足場は砂利なので、雨が降ればドロドロ。

 そんな中コンテナも野ざらしでおかれている状態。これが長さ200メートル、岸壁の深さ12.3メートル、舗装面積が3万平方メートルのコンクリートできちんと整備された埠頭に16年、生まれ変わる予定です。特徴としては、環境社会配慮も計画に盛り込み、埋め立て予定地のサンゴ礁を別の場所へ移植したり、工事が始まった際の騒音対策、交通整備など市民生活になるべく影響を与えないよう気を配っています。

 今後、入札、着工と進みますが、建設会社を選ぶ入札は、国を限定しないフェアなもの。ぜひとも、日本の企業が落札して、日本の高い技術を披露してほしいです。

 6月に新病棟完成

 もう1つは、ビラ中央病院。今の病院は、独立前の1974年にイギリスによって建てられ、それ以降大規模な改修工事は行われていませんでした。1階建てで、お世辞にもキレイとは言えません。最初に見たときは、ここが病院かと少し心配になりました。その病院が、日本の約14億円の無償援助によってまもなく生まれ変わります。既存の内科、外科、産婦人科などに加えて、2階建ての新たな病棟に外来・救急、手術室、レントゲン室、検査室などが入ります。

 建築を請け負ったのが日本の企業。6月の完成に向け、現在、追い込み作業に汗を流しています。建築基準は日本と同等、手術室、検査室などの医療施設も日本と変わらないレベルのものができるようです。発展途上国にいて、一番の心配が病院だったので、こうした医療現場の改善はとても心強いです。

 今回の改修は最新鋭のものを作るのでなく、建設後、きちんと地元の人たちだけで回せるように配慮。電気代もかかり、メンテナンスも必要なエレベーターではなく、ストレッチャーも通れるスロープを作ったり、なるべく風通しの良い設計にしたりと。バヌアツ人も積極的に雇用しています。とはいえ、きれいにやる、土日に働くという感覚のないバヌアツ人を動かすのは大変だったそうです。

 2つのプロジェクトがどのようにバヌアツに富をもたらすかまだ分かりませんが、バヌアツの人たちが暮らしやすい社会作りに日本が貢献できたとしたら、日本人としてとても誇らしいです。同時にバヌアツ側にも、これらを一過性のものにせずに、うまく利用して、ますます幸せなバヌアツになることを期待します。(フリーアナウンサー、バヌアツ共和国親善大使 相川梨絵/SANKEI EXPRESS

 ■あいかわ・りえ 1977年、東京生まれ、茨城育ち。横浜国立大学卒業後、2000年、共同テレビ入社。フジテレビアナウンス室に出向し、フジテレビアナウンサーとして「笑っていいとも!」をはじめバラエティー、情報番組などに出演。06年、フリーに。12年、結婚とともにバヌアツ共和国に移住、「バヌアツ親善大使」に任命される。13年、「いばらき大使」を委嘱。ダブル大使としてバヌアツと茨城の懸け橋となるべく奮闘中。ameblo.jp/aikawa-rie/

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