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【来年度予算案】転職・共働き支援 教育・医療費は増

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【来年度予算案】転職・共働き支援 教育・医療費は増

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こうなる暮らし2014=2014年12月24日現在  2014年度政府予算案は、日本経済の再生に向け転職や共働き支援に力を入れたのが特徴だ。来年4月に消費税率が8%に引き上げられる中、教育費や医療費などの負担増も目立つ。暮らしへの影響を探った。

 保育所を拡充

 構造不況業種で働くA男さん(40)。アベノミクスによる賃上げどころか、リストラの危機に直面している。

 安倍政権は、A男さんのような労働者を成長産業に転職させたい考えだ。予算案では、従業員の転職を支援する企業に支払う「労働移動支援助成金」を大幅に増やす。

 中小企業だけでなく、大企業も受給対象に加えたが、望む仕事が簡単に見つかるかは不明だ。

 出産を控える会社員のB子さん(30)。夫の稼ぎでは生活に余裕がなく、育児休暇を終えたら職場復帰するつもり。消費税増税の税収は仕事と子育てを両立できる環境づくりにも充てられる。

 心配なのが保育所の待機児童問題で、保育所を探すのに苦労するケースが多い。予算案では保育所の受け入れ児童数の拡大などに6248億円を計上した。

 保育所の定員が増えると応募が殺到するケースもあり、政府が把握しているよりも待機児童数は多い可能性もある。

 高齢者は負担増

 年収1000万円の高給取りのC男さん(50)は想定以上に出費がかさみそうだ。中学3年の息子は、難関公立高を目指し受験勉強中。中学1年の妹も塾に通い始め、教育費が膨らむ。

 民主党政権が始めた高校授業料の無償化は来年4月の新入生から所得制限が導入される。年収910万円以上の世帯は対象から外れ、C男さんの場合、長男にかかる年間約12万円の授業料は自己負担となる。

 高齢者の負担も重くなる。来年4月以降は新たに70歳になる人から、特例で1割に据え置いていた70~74歳の医療費窓口負担が2割に増える。年金でも、ことし10月から過去の物価下落にあわせた減額が始まっており、受給額は15年4月まで段階的に減る。

 減反で農業転換期

 ホテルや百貨店などの飲食店で相次いだメニューの虚偽表示では、都道府県の役割を強化する。「地方消費者行政活性化事業」に13年度当初予算に比べ6倍となる30億円を計上し、相談員の研修などに使ってもらう。

 農業では、18年度をめどにコメの生産調整(減反)の廃止が決まった。14年度から減反に参加した農家が受け取る補助金は半分の10アール当たり7500円に減る。

 一方で、主食用のコメを作りすぎないように、飼料用や米粉用のコメへの転作を促す。減反に加わらずに生産量を増やすか、転作に力を入れるか。農家も思案のしどころだ。

 ≪実入り増えても「火の車」 出費かさんで借金漬け≫

 居酒屋の店主のアベです。「客を取り戻す」をモットーに商売に精を出しています。お酒飲み放題(大胆な金融緩和)など3つの「おもてなし」を打ち出してから、客足が伸びましてね。「今でしょ」と考え、一律3%値上げ(消費税増税)します。店の収入(税収)は増えそうですが、節約下手で出費も多く借金の総額(2014年度末国債残高)は増えるばかり。家計は火の車です。

 1年間にかかるお金(14年度予算)はこれまでで最大の958万円になりそうです。両親の介護や病院代などに必要なお金(社会保障関係費)が305万円と初めて300万円を超えます。

 年々通院回数も増えていますから、これからはさらにお金がかかるでしょう。少しでも節約できないか、見直さなければいけません。

 近ごろは近所が物騒になりましたから、防犯対策費(防衛費)を増やします。店舗の修繕・改装費(公共事業費)にも59万円かけます。

 高校生の長女の学費など(文教・科学振興費)は54万円必要です。地方の大学に通う長男への仕送り(地方交付税)は減らして161万円にします。ローン返済(国債費)が232万円もあるので我慢してもらいます。

 震災復興は大事なので別の財布(復興特別会計)から36万円出します。

 一方、店の収入は500万円で前年度より69万円増えます。家計には妻が趣味で作ったチョコレートの販売代金(税外収入)も入れます。

 でもこれだけじゃ足りません。結局、412万円の借金(国債発行)で埋め合わせることにします。収入が増えたのに、借金はあまり抑えられません。客足が伸びたからと気が大きくなって、使い過ぎちゃうんです。これじゃ駄目ですよね。

 これまで放漫経営を続けていたので借金の総額は7804万円まで膨らみそうです。このまま借金漬けが続くと破産しかねません。客足を見ながら、もう2%値上げしようと考えています。

 14年度予算案の1兆円を10万円に換算し、家計に例えました。(SANKEI EXPRESS

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