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見て遊んで食べて 深海生物に夢中

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見て遊んで食べて 深海生物に夢中

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 深海生物に人気が集まっている。海底の闇に潜む奇妙な姿や謎の多い生態が大人の好奇心を刺激しているようだ。地域活性化につなげようとつくった深海水族館が評判を呼び、深海生物を題材にしたカードゲームやカフェも登場している。

 シーラカンスが目玉

 「これが見たかった!」。静岡県沼津市の沼津港深海水族館。若い女性の2人連れが、暗い水槽の底で身動きしないダイオウグソクムシを眺めながら歓声を上げた。ダンゴムシの仲間で体長40センチほどもある深海生物だ。よろいのような硬い殻に覆われている。

 2011年12月にオープンしたこの水族館は、珍しい深海生物を集めている。青白く発光するヒカリキンメダイや、未確認飛行物体(UFO)を連想させるメンダコなどが人気。「生きた化石」と呼ばれるシーラカンスを冷凍保存した展示も大きな目玉だ。1年目から20万人超が全国から訪れ、話題を呼んでいる。

 目の前に広がる駿河湾は最深部で約2500メートルと日本一深く、深海生物の宝庫。人口減少などで水産業が厳しい環境にある中、地元の水産会社が「港を活性化させ、住民も楽しめる施設をつくろう」と開業した。

 平日は来館者の9割前後が50代以上で、子供より大人の方が興味津々のようだ。ダイオウグソクムシの縫いぐるみなど土産用品の売り上げも好調な上、周辺の飲食店も増えて一段とにぎわっているという。

 妻、息子と訪れた横浜市の会社員(40)は「未知の生物を勉強できるのが魅力」と満足した様子。石垣幸二館長は「世界から沼津に人を呼べる拠点になる」と意気込む。

 気分は研究者

 深海生物がテーマのカードゲームも人気だ。マイアース・プロジェクト(東京)の「ミスティクア」は、自分が潜水調査船に乗り込んで海に潜り、ダイオウイカなどの深海生物を発見して学会で発表するといったリアルな設定。研究者になったような気分が味わえる。

 深海生物の精緻なイラストが描かれた40種のカードには生態や特徴などの情報も盛り込み、図鑑としても楽しめる。昨年(2013年)8月の発売後、約5000セットを売り上げた。代表の横山一樹さんは「身近にある海にまだ知らない世界が広がっていることが興味をそそるのでは」とブームの広がりに期待する。

 一方、東京・渋谷の東急ハンズ渋谷店は、4月上旬までの期間限定で「深海ラボカフェ」をオープンさせた。店内には調査船の模型や、深海生物を水槽で飼育する様子を中継するモニターを設置している。

 関連グッズの販売やイベントも実施。ダイオウイカの絵柄を施したカフェラテや、盛り付けで海底を表現したカレーなど遊び心のあるメニューも人気で、カップルや女性客でにぎわう。東急ハンズの担当者は「謎が多い深海の魅力を五感で楽しめる空間にした。多くの人に堪能してほしい」と話している。(SANKEI EXPRESS

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