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牛肉関税 20%台引き下げ検討 日豪EPA

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牛肉関税 20%台引き下げ検討 日豪EPA

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牛肉供給量の推移(2007年~2013年)、※農林水産省まとめ  政府は3月26日、オーストラリアとの経済連携協定(EPA)交渉で、牛肉関税を現在の38.5%から20%台に引き下げる検討に入った。オーストラリアは関税率の大幅削減を強く求めており、譲歩はやむを得ないとの判断に傾いた。

 4月上旬に予定する安倍晋三首相とアボット首相との首脳会談での合意を目指し、交渉は最終局面を迎える。

 林芳正農水相ら関係閣僚は26日、オーストラリアのロブ貿易・投資相と東京都内で個別に会談した。牛肉関税での合意は持ち越したが、茂木敏充経済産業相は会談後、日本が撤廃を求めている5%の自動車関税を含め「大きな進展がある」と述べた。甘利明(ああり・あきら)・環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)担当相は「首脳会談での妥結がベストだ」と話した。

 オーストラリアは冷蔵品と冷凍品を区別せずに、牛肉関税を一律に現在の半分の19.25%にするよう求めている。日本は冷蔵、冷凍いずれの関税も20%台に引き下げる案を検討するが、一部の国産牛と競合する冷蔵の税率は冷凍よりも高くし、畜産農家への影響を少なくしたい考えだ。

 林農水相はロブ貿易・投資相との会談で、牛肉関税で妥協点を見いだすため、引き続き双方が努力することを確認した。オーストラリアが自動車関税を協定発効と同時に撤廃するのか、時間をかけてなくすのかを見極めながら、最終的な譲歩案を示すタイミングを探ることになりそうだ。ただ、交渉関係者は「オーストラリアが牛肉関税で歩み寄ってこない可能性もある」と指摘する。合意できるかは、なお予断を許さない。

 《合意なら米より有利 TPP影響も》

 日本とオーストラリアのEPA交渉が、日本の牛肉関税を引き下げる内容で合意すれば、オーストラリアは日本市場で競合する米国よりも有利な条件で輸出できるようになる。関税撤廃にこだわる米国が揺さぶられ、難航しているTPP交渉が影響を受けるのは必至だ。

 TPPは、日本の農業重要5項目の関税をめぐる日米の主張の隔たりが大きく合意のめどが立たない。これに対し、日本とオーストラリアのEPAは解決しなければならない課題が牛肉関税に絞られた。政府関係者は「TPPの日米協議よりも距離は近い」とみる。

 農林水産省によると日本の牛肉輸入量はオーストラリア産が最も多い。ただ、日本の牛海綿状脳症(BSE)対策の緩和により、2013年は米国産が前年比41.0%増の18万6028トンと大幅に伸びた。オーストラリア産は10.1%減の28万6546トンとなり、両国の差が縮まっている。

 オーストラリアにとっては、TPPに先立って日本とのEPAを発効すると、日本市場で追い上げる米国を引き離す効果が期待できる。日本は牛肉関税をなくさない形での協定の実績を示し、関税撤廃を求める米国から譲歩を引き出す構えだ。

 TPP交渉を主導する米国を動かし、妥結に向けた機運を高められるのか。日本とオーストラリアの決断はTPP交渉の行方を左右する。(SANKEI EXPRESS

 ■経済連携協定(EPA) 貿易や投資が自由に行えるように2国間や複数国間で結ぶ協定。関税の撤廃や引き下げだけでなく、知的財産権を守るルールなど幅広い分野が対象となる。日本はこれまでにスイスやインド、ペルーなど13の国・地域とEPAを結び、オーストラリア、カナダ、欧州連合(EU)などと交渉中だ。日米を含む12カ国が交渉に参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)もEPAに該当する。

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