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うまさ悶絶、多彩な食感 「桜鯛」尽くし 兵庫・南淡路
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淡路の郷土料理「宝楽焼き」。蒸し焼きにすることでうま味が凝縮する
《うず潮でタイが骨折する!?》
タイが食べたい-。春に一番の旬を迎えるマダイ。体がピンクに輝くことから、この時期のマダイは桜鯛と呼ばれる。タイは潮にもまれればもまれるほどうまい。うず潮で有名な鳴門海峡の桜鯛は、あまりの激流で骨折するものもいるとか。至極の桜鯛を求めて、兵庫県は南淡路へと飛んだ。
兵庫県と徳島県の間に位置する淡路島。今回訪れる南端の南あわじ市へは、神戸・三ノ宮から高速バスで約1時間強。たったそれだけの距離なのに、神戸と淡路島をつなぐ明石海峡大橋を渡った瞬間に一気にリゾート気分になってしまうから不思議だ。
鳴門海峡を望む福良(ふくら)港に到着。目の前に広がる鳴門海峡に「ここにタイが…!」と心が躍るが、もちろん、タイを食べに来ただけではない。福良港にある「淡路人形座」では、文楽の元ともなった「淡路人形浄瑠璃」を気軽に鑑賞できる。
淡路人形浄瑠璃の歴史は約500年前にまでさかのぼる。もともと神事として伝わっていた「人形操り」と、京都・大阪で盛んだった浄瑠璃が融合した。文楽で使う人形よりも一回り大きく、けれんみのある演出が特徴だ。
「淡路人形座」は全国的にも珍しい常設の劇場だ。三味線と太夫、人形遣いの三位一体の芸と、粋がこらされた人形や舞台の美しさに、うっとりさせられる。「淡路人形座」の支配人、坂東千秋さんは「身近で本物の日本文化に触れられるのが魅力」と話す。
そろそろ日が暮れてきた。宿泊先の「休暇村南淡路」へは車で10分弱。福良港から無料シャトルバスも出ている。高台にある休暇村へ到着するなり、自慢の温泉へと急ぐ。鳴門海峡を一望する露天風呂からの景色はまさに絶景! つるつるした肌触りの湯につかりながら夕日を眺めれば、心も体も溶けていく。
さあ、お待ちかねのタイ! 休暇村では、5月31日まで天然の桜鯛を使用したタイ尽くしのコースを楽しめるプランを用意している。刺身はもちろん、素焼きの焙烙(ほうらく)で蒸し焼きにする淡路島の郷土料理「宝楽焼き」や「鯛しゃぶしゃぶ鍋」「鯛荒炊き」「鯛飯」など多彩な品々が並ぶ。
まずは刺身をぱくり。激流育ちの桜鯛は身が締まり、ゴリッ、ゴリッという衝撃の食感。そしてぶわっと広がるうま味…。しばし悶絶する。
タイの進撃はその後も続く。宝楽焼きはホクホク、しゃぶしゃぶはしっとり、荒炊きはホロホロ、鯛飯はほっこり。調理方法によってこれほど食感や風味が違ってくるのかと驚かされる。
「食いしん坊が考えたコースです」と高山智行支配人が言うように、淡路牛などの食材も挟まれ飽きない構成に。中でも宝楽焼きの淡路島特産タマネギはレモンをかけるとまるでフルーツだ。
念願のタイを堪能した翌日は、再び福良港へ。タイを育てた激流を間近で見るべく、「うずしおクルーズ」の咸臨丸(かんりんまる)に乗り込んだ。世界一の大きさという鳴門のうず潮。潮の動きが関わるため、干満の差が大きい春と秋が一番の見ごろとなる。潮がうねり、とぐろをまく姿は圧巻。「そりゃタイも骨折するわ…」と納得だった。
せっかくの旅、ランチだってこだわりたい。「ここでしか食べられないものを!」とやってきたのは、車で20分ほどの「安冨白土瓦」。淡路島は良質の土が取れることから、高級瓦の産地としても知られる。安冨白土瓦では、炭火であぶった瓦の上で、豚肉や野菜を焼くという豪快な「かわら焼」を味わえるのだ。
猪と黒豚などを掛け合わせた「ゴールデン・ボアポーク」は濃厚な味わいが特徴の淡路特産品。タマネギ、米も淡路産だ。「腕がないから素材で勝負しただけ」と安冨義和社長は謙遜するが、何よりのごちそうだ。
ここでは瓦粘土の彫刻体験もできる。無心で土に向かい合えば、心もすっきり。「作品」は約1カ月後に郵送してくれる。できあがりを心待ちに、福良港から高速バスで帰路につく。激流の恵みにパワーをもらって、明日からまた都会の荒波にダイブだ!(塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS)