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いながらに全国の味 食べ歩き うどんミュージアム

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いながらに全国の味 食べ歩き うどんミュージアム

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京都の懐石と各地のうどん料理が味わえるうどん懐石  【京都うまいものめぐり】

 日本の食文化の歴史を刻む京都で、全国各地のうどんを食べ比べできる「うどんミュージアム」が観光客らを中心に人気を集めている。ラーメンなどに比べると「ご当地性」が高いうどん料理に着目した異業種の経営者らが一般財団法人を設立。昨年(2012年)12月22日に京都市中心部にオープンして丸1年が経過した。店のイメージキャラクター「うどんくん」も徐々に知名度を高めており、関係者は「うどんを世界の食に広めたい」と意気揚々だ。

 舌で厳選した三十数種類

 歌舞伎の見物客でにぎわう京都南座にほど近い祇園の京町家を改装し、オープンさせた「うどんミュージアム」。館内に入ると、全国の45種類以上の代表的なうどんの歴史や食べ方、具材、だし汁などを展示紹介する日本地図を模した巨大なパネルが目に飛び込んでくる。なかなか斬新な演出だ。

 しかし客間は一転、中央に中庭を配した古風な造りで、各部屋から四季の移ろいを楽しみながら、落ち着いて食事ができるよう工夫している。そうした取り組みが奏功したようで、1カ月の来館者は目標を上回る5000~6000人にものぼるという。

 財団代表の高屋友明さん(42)は「お店が主体のラーメンなどと違い、うどんは地域中心。国内外の人たちが数多く訪れる京都の地で、うどんの魅力をさらに広めたいと考えました。開店までに約3カ月間、各地のうどんを食べ歩きました」と振り返る。

 現在、自らの“舌”で厳選した三十数種類のうどんを提供している。「それぞれの味をそのままに」の信念で、産地直送の材料を使い、現地の味に近づけるよう努力している。

 定番から変わり種、さまざま

 こうした地道な取り組みが実り、各県の関係者らが味見に訪れ、味のグレードアップに協力してくれることも。評判を聞きつけ、各地の売り込みも増えているという。

 お薦めは、やはり京懐石とご当地うどんが味わえる「うどん懐石」だ。そうめんのいくら金山寺ワサビ乗せをはじめ、ゴマ豆腐、万願寺トウガラシのゼリー寄せなど“京の香り”が膳に盛られた逸品。しかも興味のあるうどんを選べるだけに、舌もおなかも納得だ。

 関西出身の記者だけかも知れないが、見たことも聞いたこともないうどんもメニューに並ぶ。たとえば栃木県の「耳うどん」。郷土料理の一種で、正月に食べる縁起のいい料理だとか。食感は、すいとんのようで淡泊。その分、具だくさんなのが特徴で、おせちの材料を入れるためという説もある。

 群馬県の「ひもかわうどん」は変わり種の代表格だ。幅は広いが厚みが薄く、ツルンとした喉ごし。布のようで、箸でつかみにくく食べにくいのだが、それが逆に人気を集めているという。

 ナンバーワン「梅うどん」

 もちろん、兵庫県・淡路島の「わかめうどん」や岡山県・倉敷の「ぶっかけうどん」など歴史ある味も定番として根強く愛されているが、うどんミュージアムのナンバーワンは和歌山県の「梅うどん」という。特産の紀州南高梅を練り込んだ、さっぱり味の逸品。箸を運ぶたび梅の香りがほのかに漂い、体調が悪くても食をそそる「うどんの茶漬け」のように感じた。

 高屋さんは「この1年で手応えは感じている。次はフランチャイズを募集して国内外に進出したい。うどんにはその魅力が十分にある」と自信をもって話す。

 個性あふれたうどんを継承し続ける「ご当地」の活性化に役立つことを主眼にして“商い”をしている高屋さん。オープン1周年を迎え、それぞれのうどんについて説明する表情に迷いはない。(文:西村力(つとむ)/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS

 ■うどんミュージアム 京都市東山区祇園町北側238の2、(電)075・531・0888。営業時間は午前11時~午後10時。年中無休。うどん懐石3800円、4500円▽梅うどん800円▽ひもかわ生うどん刺身780円▽耳うどん1300円▽わかめうどん1000円など。

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