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辛さ抑えた四川料理 上品な味わい マダム紅蘭
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名物料理になった東坡(トンポー)バーガー。豚の角煮がジューシーだ
京都御苑のすぐ近く、数寄屋造りの町家で日本人の舌に合わせた四川料理を提供するのが「マダム紅蘭」。メニューには聖護院蕪(かぶら)を使ったスープや、堀川ゴボウのきんぴらなど京野菜の持ち味を生かした逸品が並ぶ。いずれも辛さを抑えた上品な味わいで、週末や休日は予約客らでいっぱいに。また、ジューシーな豚の角煮を挟み込んだ東坡(トンポー)バーガーは全国から注文が相次ぐ人気商品で知られる。落ち着いた座敷で味わうこの店のおもてなしは、中華料理のイメージを変えてくれるかもしれない。
前菜の一皿として登場するのは、「聖護院大根柚子生酢の玉子巻き」。千切りにして甘酢に漬け込んだ聖護院大根と金時ニンジンを、薄く焼いた卵で巻き、一口サイズの短冊状に盛り付けた。
ふんわりした卵焼きの食感と大根とニンジンのサクサクした歯応えがマッチ。脇には大葉の上にトマトが載せられ、黄、赤、緑…と彩りも見た目を楽しませてくれる。
堀川ゴボウのきんぴらは、皮をむいて輪切りにしたゴボウを1時間水に浸してアク抜きし、しょうゆと砂糖、チキンスープで味付けをして軟らかく煮た一品。仕上げのごま油の風味が中華のテイストを感じさせる。
「赤蕪(あかかぶ)とイカのあっさり炒め」は、コウイカの弾力ある味わいを、蕪やクワイ、ヤングコーン、キクナなどサクサクした歯触りの野菜が脇役となって引き立てる。
冬の食材、ズワイガニは「豆鼓(トーチー)炒め」という独特の調理法で提供する。さばいたズワイガニに塩、こしょうをふり、片栗粉をつけて空揚げにすることで「うま味を閉じ込める」(大野剛料理長)。次に、大豆を発酵させた塩分の強い調味料を使い、万願寺唐辛子やクワイなどとともに炒める。しっかり中華味のついたカニの身を殻からほぐし野菜とともに味わうと、ポン酢で食するカニ鍋などとは異なる味覚が楽しめる。
冬の限定メニューは「カキと九条葱(ねぎ)の味噌煮込み」。成長すれば7センチほどになるというカキを甜麺醤(てんめんじゃん)をベースに九条ネギと一緒に煮込んだ。
とろみのある蕪のスープも味わいがある。皮をむいた蕪をアク抜きし、ミキサーにかけてペースト状に…。注文が入ると、チキンのスープに取り置いた蕪と干し貝柱を入れて炊き塩、こしょうで味を調える。貝柱のエキスがしみだし、スープの味わいを深めている。
海老のように湾曲したサトイモの一種、海老芋と、地鶏のもも肉を硬くならないように別々に炊き、その後に両者を合わせた「うま煮」はボリューム感もたっぷりだ。
店の名物が東坡バーガーだ。皮付きの豚バラ肉を1時間ボイルすることでアクを抜き、しょうゆを塗り高温の油で一旦揚げる。さらに砂糖やしょうゆで味付けし、3時間蒸す。マントウと呼ばれる耳たぶのように軟らかい蒸しパンも自家製で、蒸した豚肉を挟み込んで提供する。
発売当初は京都御苑を訪れた観光客らが3個、5個…と買い求めたことから評判を呼び、今では百貨店から大量の注文が寄せられることも。
女将の林紀江さん(65)が1984年に紫明通(京都市北区)にオープンしたが、98年に現在の丸太町に移転。店舗はそばぼうろメーカーで知られる「かわみち屋」ゆかりの町家で、築約100年。1階は総檜(ひのき)、2階は秋田県の赤杉を使った和風建築。
香辛料が利いた四川料理がベースだが「辛いものは好まない」という林さんの嗜好から、あっさり味の中華料理を提供し固定客が増えた。外国人観光客も増えており、林さんは「今後は英語表記など、外国人にも対応できるようにすべきですね」と話した。(文:巽尚之/撮影:恵守乾/SANKEI EXPRESS)