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【HAPPY SKATING×パラリンピアン・ライフ】(1) 2020年へ「一緒にやればいいじゃん」

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【HAPPY SKATING×パラリンピアン・ライフ】(1) 2020年へ「一緒にやればいいじゃん」

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五輪のこと、パラリンピックのことを本音で語り合う、パラリンピック女子走り幅跳びの佐藤真海(まみ)さん=2014年3月31日、東京都千代田区(大橋純人撮影)  ソチ冬季五輪のフィギュアスケート女子で8位に入賞し3月の世界選手権で現役引退した鈴木明子さん(29)と、パラリンピック陸上女子走り幅跳び選手で、2020年東京五輪・パラリンピック招致活動でも大活躍した佐藤真海(まみ)さん(32)。SANKEI EXPRESSでそれぞれ「鈴木明子のHAPPY SKATING」と「佐藤真海のパラリンピアン・ライフ」を連載する2人の女性アスリートが、これまでのこと、これからのことを本音で語り合った。

 気持ちのコントロール

 ――満員のさいたまスーパーアリーナで行われた世界選手権で鈴木さんの現役最後の演技が終わりました。

 佐藤さん「女子フリーの日、私も会場で初めて観戦してすごく感動しました。2万人近い観客の前で演技をする鈴木さんはすごく気持ちが強いなと思いました。走り幅跳びは、ぎゅっと一瞬に勝負が凝縮されますが、フィギュアのフリーは4分の中で、失敗しても滑りながら修正していきますよね。気持ちのコントロールを含めマネジメント力が求められると感じました」

 鈴木さん「途中から挽回することもできますが、そのままズルズルと落ちていくこともあるので、気持ちのコントロールはすごく難しいです。陸上でも共通すると思いますが、同じように練習してコンディションを作って臨んでも、試合ではうまく滑れるかはやってみないと分からないんです。調整がうまくいかなくても、試合は待ってくれません」

 その時のベストを

 ――実際、ソチ五輪では両足の小指に痛みに苦しみながらの演技でした

 鈴木さん「五輪のときは靴を履くことすら痛かったです。これまでは、けがをして試合に臨むという経験がほとんどなかったのに、どうして最後の五輪でって、一時は落ち込みました。でも最後は、それも巡ってきたことだから受け入れるしかないと気持ちを切り替えました」

 佐藤さん「私もパラリンピック北京大会のとき、腰のヘルニアに悩まされました。腰をかがめて靴紐を結ぶことすらできないくらいの痛みでした。受け入れてやるしかなかったのを覚えています」

 鈴木さん「私も同じです。痛くないときや絶好調でやっているときのコンディションを求めても仕方ないな、と。その時点でできる自己ベストに目標を合わせるようにしています。求めていたパフォーマンスは、もっともっと高いものだったかもしれないけど、いまできる最大限を目指すことに切り替えました」

 ――佐藤さんはソチでのパラリンピック開幕の日、聖火ランナーとして現地を走りました。

 佐藤さん「冬季のパラリンピック会場を訪れたのは初めてでしたが、観客席の盛り上がりや、そこでしか感じられない雰囲気は夏と同じでした。4年に1度の大舞台に向けて、努力を積み重ねてきた選手たちが醸し出す空気感は変わりませんね」

 鈴木さん「私も五輪のときに同じことを感じました。その雰囲気に包まれているからこそ、結果が良い方向に行くこともも、逆にかける思いが強すぎて悪い結果になることもあります。『五輪は何が起きるかわからない』といわれますが、その通りだと思います」

 変な垣根を乗り越えて

 ――鈴木さんから見たパラリンピック、佐藤さんから見た五輪とは

 鈴木さん「前回のバンクーバー五輪のとき、国内で入賞者を表彰する場で、初めてパラリンピックの選手とお会いしました。五輪よりも入賞者の数が多く、1人で何個もメダルを獲得する選手がいて驚きました。すごく可能性を秘めた選手たちがいるという印象があります」

 佐藤さん「中学から陸上をやっていたので、五輪はすごくあこがれの舞台でした。2020年東京大会の招致活動を通じて、五輪選手とも交流の機会が増え、すごく刺激をもらっています」

 ――2020年に向けて、五輪とパラリンピックが共通して取り組めることはありますか

 佐藤さん「つい最近まで、パラリンピックの選手はナショナルトレーニングセンター(NTC)を利用できなかったように、まだまだ乗り越えなければならない垣根があります。お互いに組織ではなく現場のアスリート同士が課題と向き合い、改善に向け発進することが大切ではないかと思います」

 鈴木さん「NTCのこと全く知りませんでした。変な垣根が、パラリンピックの認知度の向上を妨げているような気もします」

 佐藤さん「海外に比べて、スポーツに限らず、障害者に対する環境整備は遅れています。鈴木さんが4年前に五輪で訪れたカナダのバンクーバーを思い出していただきたいのですが、街中を車いすに乗って一人で移動しているのが普通の光景です。日本では、まだまだです」

 鈴木さん「すぐにでも、取り組むべき課題がありますね」

 佐藤「『一緒にやればいいじゃん』というアスリートから発信する、単純な発想がスタート地点でいいと思います。たとえば、視覚障害があるアスリートは目が見えない分、ほかのいろいろな感覚が優れていたりして、健常者のアスリートにとってもヒントや刺激になるかもしれません。鈴木さんのような五輪経験者からそういう声が出てくればうれしいです」(司会・構成 田中充/SANKEI EXPRESS

 ※対談は4週にわけて掲載します。

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