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中間選挙 頼みは「女性大統領」 ヒラリー氏 党内人気衰えず

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中間選挙 頼みは「女性大統領」 ヒラリー氏 党内人気衰えず

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米イリノイ州シカゴ  11月4日の米中間選挙まで半年となり、ヒラリー・クリントン前国務長官(66)の役割に注目が集まり始めた。女性初の米大統領の座を目指して2016年次期大統領選に出馬するとの観測は高まる一方で、08年大統領選の予備選でバラク・オバマ大統領(52)を推した民主党の有力者にも今回はクリントン氏の出馬を待望する声が広がってきた。民主党は中間選挙でも“党の顔”としてクリントン氏の応援に期待をかけているが、その先をにらむ本人は損得勘定を慎重に思案しているようだ。

 「出馬は考え中」

 「みんなが私に(大統領選への立候補を)尋ね、勧めてくれるのはとてもうれしいし、光栄です。考えているところです」

 4月8日、米カリフォルニア州サンフランシスコでのイベントでクリントン氏は、踏み込んだ表現で立候補への意欲を示唆した。このところ政治的な発言を控えている様子がうかがえただけに、CNNテレビは「ここまで率直な発言は珍しい」と伝えた。6月10日には国務長官時代の回想録が出版される予定で、その後も出版記念イベントで全米各地に赴く予定だ。

 クリントン氏は女性や環境などさまざまなテーマの講演で全米を回っているが、次期大統領選に関する発言は控えてきた。だが、党内の人気は衰えず、次期大統領選の党候補を問う世論調査では2位のジョー・バイデン副大統領(71)に依然50ポイント以上の大差をつけている状態だ。

 08年大統領選の予備選でオバマ氏を支持したキャロライン・ケネディ駐日米国大使(56)は米メディアとのインタビューで、「(大統領選までの)2年間はかなり長い時間だ。まもなく彼女は(大統領選への出馬を)決断するだろうし、決断してほしい」と述べ、クリントン氏が出馬を決断すれば支持する考えを示した。

 また、民主党元全国委員長のティモシー・ケイン上院議員(56)も「彼女はわれわれの暮らしを向上させようとする気持ちと手腕を持っている」と述べ、出馬すれば支持することを明言した。

 出馬を期待して結成された特別政治活動委員会(スーパーPAC)「レディー・フォー・ヒラリー」は3月末までに575万ドル(約5億8700万円)を集金。1月からの3カ月で2万2000人以上から献金を得たという。AP通信によると、レディー・フォー・ヒラリーは、候補指名争いの幕開けとなる党員集会が開かれるアイオワ州に250人のボランティアを派遣し、草の根の選挙組織構築にも着手している。

 目立った政治活動なし

 中間選挙で上院多数派を死守したい民主党としては、支持率が低迷するオバマ大統領には頼れず、クリントン人気にあやかりたいところ。特に苦戦必至の選挙区は、クリントン氏の応援に望みをかけている。

 党の議会選対策本部長を務めるスティーブン・イスラエル下院議員(55)は、政治専門サイトのポリティコに「クリントン氏を必要としない選挙区は全米でどこにもない」と指摘。本人には「一瞬でいい。力を貸してくれれば本当にうれしい」と伝えたという。

 しかし、国務長官退任後のクリントン氏は目立った政治活動をしていない。背景には、知名度が十分高く、露出を増やすと逆に攻撃材料を与えかねないという計算がある。

 クリントン氏を敵視する共和党系スーパーPACの「ヒラリーにノー」「ストップ・ヒラリー2016」などはすでに多額の資金を集め、クリントン氏の言動をつぶさに追っている。クリントン氏の長女、チェルシーさん(34)が妊娠し、初孫が話題になったが、保守系メディアには「おばあちゃんヒラリー」と揶揄(やゆ)され、高齢であることを強調された。

 中間選挙に肩入れして党派色を打ち出しすぎると、大統領選で無党派層の支持が離れるという読みもある一方、側近には、中間選挙で汗をかかないと党内で求心力を失い大統領選に響くという意見もある。いずれにせよ、クリントン氏の去就が次期米大統領選の行方を大きく左右することは間違いない。(SANKEI EXPRESS

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