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思惑入り乱れる共和党大統領候補

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思惑入り乱れる共和党大統領候補

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 3月6~8日にワシントン近郊で開かれた毎年恒例の米保守派の政治イベント「保守政治行動会議」(CPAC)は、共和党の自らの立ち位置を探る取り組みの難しさを浮き彫りにした。

 2016年大統領選出馬の有力候補らが弁舌を振るうなか、オバマ政権への対立姿勢を明確にする草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」の支持を受けるランド・ポール上院議員(51)が存在感を発揮。一方、現実主義に基づいた妥協を呼びかけるニュージャージー州のクリス・クリスティー知事(51)らも一定の支持を集めた。ただし現実主義の論者たちも基盤固めのためには茶会への配慮は欠かせず、各氏の思惑が入り乱れている形だ。

 ポール氏が支持率トップ

 「われわれは大統領が憲法を粉々にするのを阻止せねばならない」

 7日午後、ポール氏が過激な言葉でバラク・オバマ大統領(52)を批判すると、会場を埋め尽くした聴衆はスタンディングオベーションで応じた。ポール氏は、オバマ氏が大統領令と世論の支持で政策を遂行しようとしていることを、議会を軽視した「専制政治」と批判。さらに米国家安全保障局(NSA)による情報収集活動も「憲法違反」だと繰り返し糾弾した。

 政府の介入を最小限に抑えようとする小さな政府の理念の徹底を訴えるポール氏の主張は、茶会の立場と一致するものだ。CPACの名物企画である大統領候補にふさわしい人物を選ぶ投票ではポール氏が31%の支持を集め、2年連続でトップとなった。

 同じく茶会の支持を受ける保守政治家でも、テッド・クルーズ上院議員(43)が11%、マルコ・ルビオ上院議員(42)が6%の支持にとどまったこととは対照的で、米メディアは「CPACはポール氏のホームグラウンドであることが明確になった」と評している。

 オバマ批判から距離も

 ただしこの投票結果から、ポール氏が共和党大統領候補の最右翼だといえるほど事は単純ではない。CPACの来場者には若年層が多く、投票での人気が共和党全体からの支持のバロメーターとはいえないからだ。昨年(2013年)秋に国民生活を混乱させた政府機関閉鎖については、茶会に配慮して医療保険制度改革(オバマケア)見直しを強硬に訴えた共和党に責任があるとの見方が定着しており、今年のCPACではポール氏のような徹底したオバマ批判から距離を取る演説も目立った。

 こうした立場の代表格がクリスティー氏だ。CPACでは「何に反対するかではなく、何を目指すかについて語らなければならない」とオバマ政権批判一辺倒の姿勢を戒め、大きな拍手を浴びた。大統領候補を選ぶ投票でも8%の支持を受け、「聴衆がクリスティー氏に好意的な層ではないことを考えれば、まずまずの結果を残した」(米政治専門紙ポリティコ)との見方が多い。クリスティー氏は12年の大統領選直前に米東海岸を襲ったハリケーン被害でのオバマ氏の対応を称賛して保守層から批判され、昨年(2013年)のCPACには招待されなかったが、今年は大統領候補としての可能性を示した形だ。

 不可欠な茶会への配慮

 また、12年の大統領選で最後まで共和党候補の座を争ったリック・サントラム元上院議員(55)も投票で7%の支持を得た。サントラム氏は保守層を支持基盤とするが、演説では共和党が企業経営者の視点ばかりを強調し、働く側の視点を軽視してきたと指摘。オバマケアや最低賃金引き上げで企業に負担を求めるオバマ氏を批判することは簡単なことだが、「それだけでは苦しんでいる人々から支持を得ることはできない」と落ち着いた言葉で訴えた。

 しかし、こうした現実主義の立場の論者でも、保守層の支持基盤を固めて大統領への道を確かにするには、茶会に配慮する必要がある。クリスティー氏は演説のなかで、妊娠中絶に否定的な立場を繰り返し強調して、自らの「保守らしさ」をアピール。サントラム氏も共和党勝利のために保守的な主張を抑えるべきだとの論調には「米国にとって破滅的な損失になる」と反論。承認の流れが強まっている同性婚についても「結婚を再定義する話をしようとは思わない」と述べ、距離をとる立場を示した。

 民主党側ではヒラリー・クリントン前国務長官(66)が大統領候補として圧倒的な人気を集めるが、共和党側では新たな有力候補が現れる可能性も指摘されており、今後も激しい論戦が続くとみられている。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS

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