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【エコノナビ】休眠口座 社会貢献に生かそう

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【エコノナビ】休眠口座 社会貢献に生かそう

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 お金の出し入れを全くしないまま10年以上放置している銀行口座がある人は少なくないのではないか。

 こうした口座は休眠口座と呼ばれ、会計上、金融機関の収益とされている。預金者が払い戻しを求めれば、原則応じてくれるが、休眠口座の9割以上は1万円以下。このため、毎年、800億円から900億円の休眠預金が発生。請求がないまま放置される預金が、その約6割の500億円前後に上っているという。

 慌ただしい引っ越しなどで口座解約を忘れてしまった。今から解約するとなると遠方の銀行支店まで出向かなくてはならず、気になってはいるが放置したままというケースも多いだろう。

 そこで、預金者の支払い請求の権利を保護した上で、この休眠口座の資金を銀行の利益にするのではなく、社会貢献に役立てるべきではないかという発想が生まれた。

 具体的には、休眠預金を集めてファンドをつくって、それを銀行が融資対象としないような社会貢献事業を行っているNPOや財団、企業などへ貸し付けるマイクロファイナンス(小口金融)として活用するアイデアだ。

 病児保育事業を通じて、子供の貧困問題に取り組んでいるNPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事は「民主党前政権の時から、制度の実現を訴えてきた。立場が弱い人にお金が流れる仕組みをつくらねばならない」と幅広い賛同を募っている。

 海外ではすでに休眠口座を活用している事例がある。駒崎さんによれば、アイルランドでは2003年に休眠預金基金を設立して、貧困対策や障害者支援などを始めた。また、英国でも08年に法律を制定し、ファンドを立ち上げた上で、貧困層の子供の教育や社会的起業の支援を実施している。韓国でも福祉事業者支援に活用しているそうだ。

 日本ではようやく今年4月下旬、実現に向けた超党派による議員連盟が発足した。早ければ今国会での立法化を目指す。

 長い眠りから覚めたお金をどう生かすか。日本の実情にあわせて知恵を絞ってもらいたい。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS

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