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攻めるApple 3000億円でビーツ買収

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攻めるApple 3000億円でビーツ買収

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米カリフォルニア州のIT企業の集積地シリコンバレー=※2014年1月21日現在  米アップルは5月28日、音楽配信会社を傘下に持つ米高級ヘッドホンメーカー「ビーツ・エレクトロニクス」を30億ドル(約3000億円)で買収すると発表した。アップルにとっては創業以来最大規模の企業買収となる。ビーツは米人気ラップ歌手、ドクター・ドレー氏(49)ら音楽業界のプロが2006年に創業した先鋭的な企業。1曲ごとのダウンロード販売が主体のアップルに対し、ビーツは定額制でデータ受信しながら同時再生するストリーミング方式を採用している。音楽配信市場では、定額ストリーミング方式を用いたライバルが大躍進しており、アップルは先端的なイメージで音楽ファンに人気が高いビーツの買収で巻き返しを狙う。

 ヘッドホン大人気

 「わが社で特別な位置を占める音楽ビジネスにおいて、世界一革新的な音楽製品とサービスの創出を継続するため、並外れたチームを迎え入れる」

 アップルのCEO(最高経営責任者)、ティム・クック氏(53)は声明文で今回の買収の意義をこう説明した。

 ロイター通信などによると、買収は現金26億ドルと株式4億ドル分で実施する。

 ビーツはミュージシャンやプロデューサーといった音楽業界のプロの視点で先鋭的なビジネスを展開してきた。その象徴がヘッドホンだ。価格が100ドル(約1万円)以上と高額だがプロ仕様のこだわりが若者に受け、米ヘッドホン市場の62%を占めるまでに成長。昨年(2013年)は11億ドル(約1100億円)の売り上げを記録した。今年1月から子会社ビーツ・ミュージックで定額制ストリーミング方式の音楽配信事業に参入した。

 エミネム手がける

 ラップ音楽の分野で最も影響力を持つドレー氏とともに創業者に名を連ねるジミー・アイオヴィン氏(61)も1972年から音楽プロデューサーとしてジョン・レノン(1940~80年)やブルース・スプリングスティーン(64)ら有名ロッカーの計250作品を手がけた超大物だ。89年に自ら設立したインタースコープ・レコーズ(ユニバーサル傘下)ではエミネム(41)やレディー・ガガ(28)らを大成功させた。

 そんな両氏をクックCEOは「まれな才能を持つ真にユニークで得難い人物」と絶賛すると同時に、「シリコンバレー(のネット企業)とロサンゼルス(の音楽業界)の間に“ベルリンの壁”のようなものが存在するのは醜悪な事実」と現状を批判。それまでいがみ合っていた双方の強みの融合でライバルに打ち勝つ考えを示した。

 今回の買収によってアイオヴィン氏は現職(インタースコープの会長)を退任し、ドレー氏とともにアップルに移籍。ドレー氏は音楽活動を続けながら「(アップルが)必要とする限り、力を尽くす」と述べた。

 ストリーミング激増

 音楽配信サービス、アイチューンズ・ストアを2003年に始めたアップルはこの分野で依然、世界一だが、全米レコード協会によると、米国での昨年(2013年)のダウンロード配信の総売り上げが前年比1%減の28億ドル(約2800億円)だったのに対し、定額制ストリーミング方式は39%増の14億ドル(約1400億円)と激増。この分野の代表で06年に設立された北欧のスポティファイは今月(5月)、有料会員が全世界で1000万人を突破した。

 アップルはビーツの買収で、ネット企業の論理的な発想と音楽業界のしなやかな感性を融合。配信事業と同時にビーツのヘッドホンを積極販売し、ウエアラブル端末に変貌させる計画も進めるとみられる。(SANKEI EXPRESS

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