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【ブラジルW杯】開幕戦 ブラジル快勝 成長遂げたフッキ 札幌の誇り
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【A組】開幕戦でクロアチアの選手と競り合うブラジルのフッキ(ゼニト、右)=2014年6月12日、ブラジル・サンパウロ(共同) 6月12日(日本時間13日)に行われたサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会の開幕戦で快勝したブラジル代表FWとして先発出場したフッキ(27)は、J2札幌での1年間の経験を糧に変貌、成長を遂げた。当時を知る関係者は「札幌が彼の転換点。クラブの自慢だ」と胸を張る。
札幌の三上大勝(みかみ・ひろかつ)ゼネラルマネジャー(GM)は2004年ごろ、ブラジル北部の街で初めてフッキを見た。「強くて速くてうまい」。一目でほれ込んだ。資金面から手を出せなかったが、06年、前年にフッキを獲得していたJ1川崎が期限付き移籍を検討していると聞き、すぐに手を挙げた。
フッキは当時19歳。精神的に未熟で、誰もがピカ一と認める能力を十分に発揮できずにいた。思う通りにプレーできないと練習を放棄することも。試合では審判への抗議による警告を繰り返し受け、不満を爆発させて監督と小競り合いすることすらあった。
札幌の鈴木ウリセス通訳は「普段はもの静か。負けたくない気持ちが強過ぎるだけ」と振り返る。三上GMもその性格を理解していたが、「ブラジル代表に入る選手になれるかは今、決まる」と粘り強く対話を重ねた。
06年夏を前に自覚が芽生える。「自分の態度はプロじゃなかった。この仲間と札幌で成長したい」。この後、サクセスストーリーが始まった。
札幌で25得点を挙げ、07年は東京VでJ2の得点王に。08年、ポルトガルの強豪ポルトに移り、現在はロシア・プレミアリーグのゼニトで活躍する。
「この1年がキャリアの中で一番の財産」。札幌を退団した時のフッキの言葉はクラブ関係者の誇りだ。
開幕戦を自宅でテレビ観戦した三上GMは「納得いく出来ではなかったと思うが、頭は冷静に、心と体は熱く、チームのために戦っており、大人の選手になったと感じた。次の試合では得点を期待したい」と感慨深げに話した。
≪華やかセレモニー 早くも熱狂≫
ブラジル対クロアチアの開幕戦に先立ってサンパウロ・アリーナで行われた開会式のセレモニーは、ブラジルらしく華やかな演出で観客を熱狂の渦に巻き込んだ。
ブラジルのチームカラーであるカナリア(黄)色に染まったスタンドと緑色のグラウンドが描く鮮やかなコントラストはブラジルの国旗そのもの。サンバダンサーや伝統的な格闘技であるカポエイラの技を繰り出す男性らが派手に動き回る中、ブラジルを代表するミュージシャンらが大いに盛り上げ、開幕戦を待ちわびる観客を大いに楽しませた。
スタジアム中央に設置された巨大なサッカーボールが開くと中からカーニバルを思わせる輝く緑色の衣装に身を包んだ歌手で女優のジェニファー・ロペスらが登場。大会直前まで参加が確定していなかったため熱烈歓迎を受けたジェニファーは得意のラテンダンスを披露、米ラッパーのピットブル、地元ブラジルの歌手、クラウディア・レイチとともに大会の公式ソング「We Are One」を高らかに歌い上げた。(EX編集部/撮影:共同、ロイター、AP/SANKEI EXPRESS)