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政治
セクハラやじ 自民党都議が謝罪 「話す機会失った」 弁明に終始
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鈴木章浩(あきひろ)都議(右)は、「やじ発言」を認め、塩村文夏(しおむら・あやか)都議に謝罪した=2014年6月23日午後、東京都新宿区・都議会議事堂(大里直也撮影) 東京都議会の塩村文夏(しおむら・あやか)都議(35)の一般質問中に「早く結婚したほうがいい」などとセクハラとも取れるやじが飛んだ問題で、都議会自民党は6月23日記者会見し、やじを発したのは自民党の鈴木章浩(あきひろ)都議(51)だったと明らかにした。鈴木都議は謝罪し、会派を離脱したが、「(子供が)産めないのか」とのやじは否定した。
鈴木都議は23日、塩村都議に会って直接謝罪。その後の会見で「塩村議員、都議会、都民のみなさまにご心痛、ご迷惑をおかけしたことをおわびする。反省し、原点に返り頑張りたいという思いで会派を離脱した」と述べた。
自民党は所属議員59人の都議会最大会派。問題発生後、所属議員から聞き取り調査を進めていた。鈴木都議はこれまでの取材に対し、やじについて関与を否定していた。
塩村都議が所属するみんなの党の会派は、やじの声は複数の男性で、自民党都議の席付近から上がったと指摘。発言者の特定のため声紋分析するとしていた。
(6月)18日の都議会本会議では、塩村都議が妊娠や出産に関する政策を尋ねた際、「早く結婚したほうがいい」「産めないのか」などのやじが飛んだ。
塩村都議はツイッターで「女性として残念なやじが飛びました。悩んでる女性に対して言っていいとは思えないです」と書き込んだ。これが約3万人に転載されたほか、発言者の処分を求めるネット上の署名が8万人を超えるなど、波紋が広がった。
≪「話す機会失った」 弁明に終始≫
問題のやじから5日が経過し、ようやく発言を認めて謝罪した鈴木都議。6月23日午後に開いた記者会見では、謝罪が遅くなった理由を何度も問われたが、「(自分が言っていないやじも)一緒になって報道されていたので、お話しする機会を失ってしまった」などと、弁明に終始した。
普段の知事定例会見を上回る大勢の報道陣が詰めかけた東京都庁の会見場。硬い表情で姿を現した鈴木都議は冒頭、おびただしい数のカメラのフラッシュを浴びながら深く頭を下げた。
問題が起こった後、鈴木都議は「やじの発言者ではないか」と報道陣からたびたび取材を受け、その都度「私ではない」と否定していた。それだけに何度も「なぜ嘘を」と問われたが、「謝罪の機会を逸してしまった」と謝罪を繰り返すのみだった。
問題となったやじを発言した理由は「塩村議員を誹謗(ひぼう)するつもりではなく、少子化とか晩婚化が問題となっている中で、早く結婚した方がよいのではないかと思った」と述べ、報道陣から失笑が漏れる一幕もあった。(6月)19日の自民党のヒアリングにも嘘をついたのかと問われると「そうですね」と力なく答えた。
また、やじを発した都議は複数人いるとみられ、誰が同調したか把握しているかどうかについては、「他の発言は確認していないが騒がしかった。私が引き金となって申し訳ない。初心に戻って、この状況を払拭するため、がんばりたい」などと述べるにとどめた。
鈴木都議は青山学院大学法学部卒。大田区議を経て2007年の都議選で初当選し、現在3期目。都議会では総務委員会副委員長を務めている。
座右の銘は「至誠にして動かざるものなし」。政治家を志した動機は「海外ボランティアを通じて、日本のために何とかしたいと考えた」としていた。
12年8月には戦時中に起きた疎開船遭難事件の洋上慰霊祭に参加し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に上陸したこともある。ホームページでは「女性が働きやすい社会の実現」も訴えていた。
≪塩村氏「認めてもらい、ほっとした」≫
鈴木都議から直接謝罪を受けた塩村都議は、議会内で取材に応じ「ようやく認めてもらって、ほっとしている」と心境を語った。
本会議の一般質問中に「早く結婚しろ」と侮辱されたのは5日前。この間、発言を認める議員が現れなかったことに「なかったことになるのではないかと非常に怖かった」と振り返った。
塩村都議が議会内の一室で鈴木都議と面会したのは、わずか約2分間。「本当にすみませんでした」と謝罪の言葉を繰り返す鈴木都議に対し、最後まで厳しい表情を崩すことはなかった。
セクハラのやじが海外メディアも取り上げるなど大きな波紋が広がったことには、塩村都議は「議場や議員の在り方を正していく、いいチャンスになった」と述べた。
鈴木都議は発言の責任を取るとして会派を離脱したが、「産めないのか」と発言したことは否定。塩村都議は、ほかにもやじがあったとして「1人だけで全部終わりというのは少し違う」と指摘し、問題の幕引きとされることに不満を示した。(SANKEI EXPRESS)