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会期2日延長 内閣不信任案は否決特定秘密保護法案で最終攻防

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会期2日延長 内閣不信任案は否決特定秘密保護法案で最終攻防

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 国会は会期末の12月6日、機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法案をめぐる与野党攻防が続いた。与党は今国会での法案成立を確実にするため、国会の会期を8日まで2日間延長することを求め、6日の衆院本会議で決定した。民主党は安倍内閣不信任決議案を提出するなど徹底抗戦した。

 民主党の海江田万里(かいえだ・ばんり)代表は6日、党代議士懇談会で「特定秘密保護法案の採決のためだけの会期延長は許せない。不信任に値する」と安倍内閣を非難した。

 内閣不信任決議案は6日夜の衆院本会議で自民、公明、日本(にっぽん)維新の会などの反対多数で否決。与党は不信任案否決後に参院本会議を再開、特定秘密保護法案成立に向けて民主党が提出した中川雅治参院国家安全保障特別委員長(自民)の問責決議案の処理を急いだ。

 これに先立ち、民主党が提出した森雅子少子化担当相の問責決議案は、参院本会議で与党などの反対多数で否決された。

 特定秘密保護法案は、防衛や外交、テロ活動などに関し、漏洩(ろうえい)すると国の安全保障に著しく支障を与える情報を閣僚ら行政機関の長が「特定秘密」に指定する内容。これらを扱う公務員らが漏らした場合に最高10年の懲役を科す。一部の特定秘密を除き最長で60年以内に公開することも明記されている。与党と日本維新の会、みんなの党の4党協議で情報保全に関する第三者機関を内閣府に設置することでも合意している。

 民主党など他の野党は「知る権利」が侵害されるなどと批判しているが、政府・与党は「国家安全保障会議(NSC)」創設とともに今国会での成立を目指してきた。

 ≪与党の誤算 「強行」か「丁寧」か方針定まらず≫

 国会は12月6日も、与野党の最終攻防が深夜にわたって繰り広げられた。終盤国会がもたついたのは、民主党の徹底抗戦もさることながら、官邸サイドと与党と意思疎通が十分図れていないことも少なくない。官邸サイドは丁寧な審議を求めながら12月の政治日程が立て込んでいることを理由に会期延長を認めなかった。与党側も「強行」と「丁寧」の間で方針を定めきれず、結果として2日間の会期延長という誤算が生じてしまった。

 「あらゆる事態に対処するため、会期延長をお願いした」

 自民党の石破(いしば)茂幹事長は6日午後、伊吹文明(いぶき・ぶんめい)衆院議長に2日間の会期延長を申し入れた直後、記者団にこう述べた。数時間前まで「延長しない」と言い切っていただけに、苦渋の表情を浮かばせていた。

 会期延長という苦渋の決断は、参院自民党の意向が強く働いた。参院では、(12月)4日の本会議が5日未明まで続いた。民主党がどこまで抵抗するかが読み切れず、一時は5日中に特定秘密保護法案の成立を前倒しするというシナリオも出た。

 ただ、深夜国会が連日となることに、与野党双方から「死人が出る」「夜は眠りたい」との不満が続出した。参院自民党幹部は5日夜、この日中の法案成立を見送るとともに、会期の延長を申し入れた。政府側も最終的に受け入れ、会期延長の流れが決まった。

 特定秘密保護法案の野党との修正協議も、当初は日本(にっぽん)維新の会やみんなの党の抱き込みを図ろうとした官邸サイドの意向だった。衆院段階では、両党と修正合意もでき、みんなの党は賛成票を投じ、党内をまとめきれなかった維新は採決を欠席する形で官邸サイドの意向に最大限応じた。

 しかし、参院に審議の舞台が移ると、維新もみんなも党内事情を優先して態度を徐々に硬化させた。官邸サイドは会期を延長しないことにこだわる中、与党側は引き続き維新やみんなとの修正を優先させた。それでも、5日の参院国家安全保障特別委員会では維新、みんなは採決を退席してしまった。

 与党側は、維新やみんなの抱き込みに成功しなかったばかりか、民主党がどこまで抗戦するかも読み切れないままきた。

 与党内には「誤算続きだった」という声もあるが、安定感のない国会運営との印象はぬぐえず、来年の通常国会に向けて大きな課題を残した。(内藤慎二/SANKEI EXPRESS

 【特定秘密保護法案のポイント】

・防衛や外交に関し、漏えいすると国の安全保障に著しく支障を与える情報を閣僚らが「特定秘密」に指定

・特定秘密の指定期間が60年を超えられるのは暗号など7項目。永久に秘密も可能

・最高刑は10年の懲役。漏えいを唆した場合も5年以下の懲役

・国民の知る権利に資する報道・取材の自由に配慮

・秘密指定の妥当性を監視する機関を政府内に設置

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