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【エコノナビ】飢餓と糖尿病の撲滅 国連の新目標に
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糖尿病の友人には食事の前に行う「儀式」がある。インスリンの注射をおなかに打つことである。食事で急激に血糖値が上がるのを抑えるためには、この注射が欠かせない。
血糖値を上げるホルモンにはグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなど複数あるが、下げるホルモンは唯一インスリンしかない。インスリンは命の綱というわけである。
不思議なのはどうして血糖値を下げるホルモンはインスリンしかないのかという点である。諸説あるのかもしれないが、大学の医学部などで教壇に立つ知人の医師によれば、ヒトの体がそもそも生理的に飽食に対応できるようにはなっていないからだという。
ヒトの歴史を振り返れば、圧倒的に食糧不足の時代が長く、外敵から身を守って俊敏に動くためにも血糖を上げる必要性が高かった。インスリンが大量に必要とされる飽食の時代が到来するなんて、ヒトの体には「想定外」だったというわけである。
しかし、糖尿病は世界的に患者が激増し、人類にとって21世紀の新たな課題として浮上している。国際糖尿病連合(IDF)の最新の調査によれば、世界の患者数は2013年で3億8200万人、有効な対策が打たれなければ、30年までに5億9200万に増加すると予測している。
糖尿病は先進国だけの問題だと思われていたが、著しい経済成長に伴ってインドや中国、ブラジルなどの新興国、石油資源で潤ったアラブ諸国にもアッという間に蔓延(まんえん)してしまった。
貧困を脱し、豊かになった途端に砂糖の消費量が激増して、生活習慣病が国家の新たな課題になってしまう。そうした途上国も少なくない。そうした現実を直視し、各国がいかに医療体制や保健予防体制を充実していくのかが重要になる。
15年は国連が貧困や飢餓撲滅に向けて一定の数値目標を掲げた「2000年ミレニアム宣言」の目標達成年にあたるが、「ポスト2015」では、逆に飽食による糖尿病の撲滅が、新たな目標に組み入れられるのは確実な情勢である。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)