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奄美大島巡る「アイランドホッピング」 乗るために乗る 16フライト

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奄美大島巡る「アイランドホッピング」 乗るために乗る 16フライト

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双発プロペラ機DHC8-Q400が鹿児島空港を離陸。ジェット旅客機よりも低い高度を飛ぶため、白煙を上げる桜島が間近に迫る=2014年5月27日(倉谷清文さん撮影)  飛行機に乗る。それは、出張や旅行のためとはかぎらない。飛行機に乗ることだけを目的とした旅もある。今回体験した奄美諸島を巡る1泊2日の「アイランドホッピング」が、まさにそうだった。

 私たちは朝一番のJAL(日本航空)便で、羽田空港から鹿児島へと飛んだ。JALグループの一員である日本エアコミューター(JAC)のカウンターで、この日のフライトの手続きをする。鹿児島を拠点に南国の島々を結ぶローカルエアラインだ。初日に乗るフライトは、全部で6路線。まずはDHC8-Q400という74人乗りの小型機で、奄美大島を目指す。

 カナダの航空機メーカー、デハビランド・カナダが開発しボンバルディア社が受け継いだDHC8は、「高翼機」と呼ばれるボディーの上に主翼を取り付けた個性的なプロペラ機だ。搭乗口から飛行機へは徒歩で移動し、タラップを使って乗り込むが、ボディーの地上高が低いために乗り降りもラクラク。実際に利用してみると、プロペラ機でありながらとても静かで、振動なども気にならない。

 機長からの連絡によると、この日の飛行高度は6700メートル。ジェット旅客機の半分ほどの高度で飛ぶため、機窓からの眺めもいい。白煙を上げる桜島をかすめながら、奄美大島への旅がスタートした。

 ≪搭乗時のあいさつは「お帰りなさい」≫

 奄美大島からは、さらにひと回り小さいスウェーデン製のプロペラ機、サーブ340Bに乗り換える。細身のボディーが特徴で、シートは通路をはさんで左側に1席、右側に2席と変則レイアウト。地域の人々の足となっているようで、36席ある座席はほぼ埋まっていた。

 ここから喜界島(きかいじま)へ向かい、喜界島のあとは再び奄美大島に引き返して、次は徳之島(とくのしま)へ。徳之島に着いたら、また奄美大島を経由してスタート地点の鹿児島に戻る。そこまでが初日のスケジュール。どの便も、空港での滞在時間は25分程度しかない。

 1便でも遅れてしまうと乗り継げなくなるのでは? そう不安に思う人もいるかもしれないが、大丈夫。上記のコースを1機のサーブ340Bが便名を変えながら飛んでいくので、乗り遅れる心配はないのだ。

 サーブ340Bはわずかな滑走で機首をぐいっと持ち上げ、高度5000メートル程度まで上昇する。水平飛行に移ったところで、機窓から海の写真を撮ろうとカメラを取り出そうとしたら、CAのアナウンスが流れてきた。

 「当機はまもなく着陸します。これより先、全ての電子機器の電源をお切りください」

 実際の飛行時間はわずか10分程度だ。「アイランドホッピング」の名のとおり島から島へぴょんぴょんと飛び移っていくフライトを、初日に6回、2日目は沖永良部島(おきのえらぶじま)や与論島(よろんじま)なども目的地に加えて朝から8回繰り返す。東京や大阪からのアクセス便を含めると1泊2日で16のフライトを体験するそんなツアーを、JALパックが2年ほど前に商品化した。同じルートの単純往復も含めてひたすら飛行機に乗るだけなのに、ファンの間では人気が高い。販売サイトでは「観光の時間はありません」と念を押している。

 「ツアー参加者には、マイルやポイントを一気に稼ぎたいというお客さまが多いですね」と話すのは、初日のフライトに乗務していたCAの田中京子さんだ。「20代から40代が中心で、ほとんどの方が男性の一人旅です」

 2回目のフライトを終えるころにはCAも顔を覚えてくれて、機内で迎えるときのあいさつも「お帰りなさい」「お待ちしていました」に変わっていた。(文:作家・航空ジャーナリスト 秋本俊二/撮影:フォトグラファー 倉谷清文/SANKEI EXPRESS

 ■くらたに・きよふみ 福井県出身。車、住宅、商品イメージ写真を中心に広告、カタログ、雑誌などの分野で活動中。近年、旅をテーマとした雑誌との出会いから世界各地の風景、スナップ、エアラインのスチールを撮影。同時に、webコンテンツを意識した360°パノラマ撮影も行っている。

 ■あきもと・しゅんじ 東京都出身。学生時代に航空工学を専攻、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながらリポートやエッセーを発表、テレビ・ラジオの解説者としても活動する。「航空大革命」(角川oneテーマ21新書)や「みんなが知りたい旅客機の疑問50」(ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)など著書多数。

 【ガイド】

 アイランドホッピングのツアー情報は、「巡空にっぽん」「JAL」で検索。

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