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すてきな日本語をたくさん浴びるひととき 「Love Letter Project’14 降りそそぐ言葉、舞い降りる花-夏」
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夏のかまくら。その中に降りしきるものは、言葉と花-。書道家の紫舟氏とテクノロジー集団「チームラボ」(猪子寿之代表)が3D映像技術を駆使したイベントが17日まで、恵比寿ガーデンプレイスのセンター広場で開かれ、若者たちの話題になっている。
広場に登場した半球の白いドーム形テントは、高さ約6メートル、幅約11メートル。内部には人工芝が敷き詰めてある。暗がりで天井を見上げると、無数の光の点が拡大し、あるものは言葉となり、あるものは花となり舞い降りてくる。
言葉は「恋心」「燃ゆる想い」「月の光」「たまゆら」「蝉時雨(せみしぐれ)」「月東日西」「天衣無縫」など約30種類。花はアサガオやキキョウなどの夏の花だ。
無数の言葉や花は、夜空から地球に降ってくる流星のようにも見える。言葉も花も立体画像で作られているため、舞い降りてくる途中で裏返しになったり、曲がったり…。コンピューターで作成した3D画像をプロジェクターを使ってドーム内側の球面のカンバスに映し出しているのだが、不思議な現実感がある。
イベントは恵比寿ガーデンプレイスの開業20周年を記念して行われている。2007年から、ガーデンプレイスのブランドメッセージ「恵比寿。あなたは、大人の街になれ。」に沿って、紫舟氏は家族や友人、恋人に向けた思いを1メートルを超える大きな和紙に筆で書かせるワークショップを続けてきた。
紫舟氏は、今回のイベントについて、「ファンタジーな世界をかまくらのようなイメージで実現したかった」と話す。かまくらの祭りでは、「天筆」という書を書く伝統文化もある。ドームでは「文字が(立体として)360度から鑑賞できる。すてきな日本語をたくさん浴びてほしい」。
根底にあるのは、文字の“立体化”というこだわりだ。紫舟氏によれば、文字(漢字)はもともと、牛の骨や亀の甲羅に刻まれた「立体」だった。その後、紙に書かれる時代が長くなって、2次元の表現が一般化したが、「その分、力を失った」。文字を彫刻や3D画像にすることで「立体化」し、失われた「言葉の力」を取り戻すことに主眼がある。
平面に書くという表現では、日本語の壁があり、「世界に通用するレベルに届かない」。文字を立体化することで、その形や影で、文字に込められた意味や感情を伝えていくという。こうした試みは注目され、今年12月にはルーブル美術館で書の彫刻やびょうぶが展示されることになった。
紫舟氏とは、NHK番組「美の壺」のオープニング画像でコラボしてからのつきあいという猪子代表は、数年前、プラネタリウムのエンジニアから映像を見せてもらってから、今回の3D映像のアイデアを温めていたという。
「球面に映し出すことで、ある種の浮遊感を感じてもらえればいい。夜空を見るように、人工芝に寝転がって見てほしい」。紫舟氏については、「いろいろな領域やチャレンジに対して、非常に積極的で柔軟な人。いっしょにやっていて楽しい」と評した。二人のコラボレーションは、まだまだ続きそうだ。(原圭介/SANKEI EXPRESS)