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日本の「二面」対露外交通じず

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日本の「二面」対露外交通じず

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日本の主な対ロシア制裁=2014年3月18日、4月29日、8月5日  【佐藤優の地球を斬る】

 8月12日にロシア軍が北方領土で軍事演習を開始した。日本政府は、当然のことであるが、ロシア政府に対して抗議した。本件に関し、14日の露国営ラジオ「ロシアの声」が興味深い報道を行った。

 <日本は、ロシア軍がクリル諸島(引用者注記・北方領土に対するロシア側の呼称)で軍事演習を行ったことに対して抗議を表した。ロシア人日本専門家として著名なアレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使は、この抗議は、日本が対露関係の悪化路線を正当化しようとする意欲の現れだと捉えている。ロシアは南クリル諸島で演習を開始したが、これは前もって計画されていたものであり、それについては公にされていたものだ。ところが日本が演習に対して見せた反応はかなり神経質なものだった。安倍首相は、「我が国として到底受け入れることはできない」という声明を表している。

 (中略)パノフ氏は、日本は対露制裁を発動しておきながら、その内容は西側に比べてより控えめなものであったことは、こうした二面性の表れだと指摘している。日本はロシアを非難したが、プーチン大統領の訪日や外務次官級協議を日程から取り下げることはなかった。パノフ氏は、にもかかわらずこれと平行して日本側の姿勢が強硬化する様子は現れており、それを裏付けるものが新たな制裁への参加だったと語る。(中略)

 パノフ氏はこれについてはロシアは反応を示さざるを得なかったとして、次のように語っている。

 「8月に予定されていた外務次官級協議を延期する声明が表されていたが、これはこうした状況では実施する意味がないからだ。日本がプーチン大統領の訪日準備を日程からはずさないという確約もなかった。だが外務次官級協議がなく、外相も来なかったということは、大統領訪日準備の時間が残されていないことは明白であり、訪日が実現することもないのも明白だ。」>(「ロシアの声」日本語版ウエブサイト)

 「ロシアの声」は国営放送なのでロシア政府の見解に反する内容の報道はしない。

 パノフ氏は、ロシア政府の政策決定に影響を与えることができる日本専門家だ。今秋に予定されていたプーチン大統領の訪日が延期されるという明白なシグナルをロシア政府はこの放送を通じて日本政府に送っている。

 さらに今後の日露関係の展望について、「ロシアの声」はパノフ氏の以下の発言を紹介している。

 <パノフ氏は、クリル諸島の軍事演習が日本に脅威を与えるものではないものの、日本政府はこれを対露関係のネガティブな路線を正当化し、関係悪化の原因は日本ではなく、ロシアが悪いのだということを示すために使っていると強調する。パノフ氏は、この冷却期間がこの先どれほど続くかはこの秋にも明らかになるだろうと予測している。9月8~9日、モスクワでは「ロシア新聞」および「毎日新聞」主催の経済フォーラムが開かれ、これに日本ロシア協会の最高顧問をつとめる森喜朗(もり・よしろう)元首相が出席する予定だからだ。フォーラムが実施されるか、誰がどんな提案を携えこれにのぞむかで、日本に前向きな路線に戻るつもりがあるのかどうかが判断できるだろう>(同上)

 9月に森喜朗元首相が訪露するときに安倍晋三首相からどのような内容のメッセージがプーチン大統領に届けられるかによって、今後の日露関係の展望がはっきりするという見方を示す。日本は、米国との同盟関係を毀損(きそん)しないように注意しながら、日露間の良好な関係を維持しようとしてきたが、もはやそのようなゲームはできないということをロシアはこの放送を通じて率直に伝えている。森氏の訪露までに日本政府は明確な対露外交方針を定める必要に迫られている。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS

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