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クリミアにカジノ「甘い水」 プーチン大統領、狡猾懐柔策

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クリミアにカジノ「甘い水」 プーチン大統領、狡猾懐柔策

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※2014年3月18日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は首都モスクワのクレムリン(大統領府)での演説で、ウクライナ南部クリミア自治共和国と特別市セバストポリのロシア連邦への併合を宣言した。  ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)が、自国に併合したウクライナ南部のクリミア半島に「カジノ特区」を設ける計画をぶち上げた。ウクライナとの分断で経済、財政的に苦境に陥る懸念があるクリミアをテコ入れするのが狙い。クリミアの住民に“ロシア編入に伴う果実”を具体的に示す狡猾(こうかつ)な懐柔策だ。親ロシア派の武装勢力が公共施設を占拠するウクライナ東部の住民に対しても、「こっちの水は甘いぞ」と言わんばかりに、ロシア編入へと誘い込む思惑ものぞく。

 税制優遇、投資募る

 モスクワに拠点を置くニュース専門局RTなどが伝えたもので、プーチン大統領は4月21日、「カジノ特区」を創設する法案を下院に提出した。

 報道によると、カジノはクリミアの中心都市で黒海に面するセバストポリにある5つ星ホテルの近くに建設する予定。税制優遇措置を設け、カジノやリゾートホテルへの投資を募る。ロシア政府はすでにクリミアの経済発展計画として、通信・輸送分野に70億ドル(約7100億円)を投じることを表明している。

 もともとクリミア半島は南端に風光明媚(めいび)な観光地ヤルタがあり、旧ソ連時代から保養地として多くの人が訪れていることから、カジノ・リゾートに最適の地と判断したようだ。

 ドミートリー・メドベージェフ首相(48)はRTに、「クリミアは税制優遇措置によって有力な投資家を呼び込む経済特区に変わるべきだ」と訴えた。

 ロシアのカジノ特区は今回が5カ所目。これまでシベリア・アルタイ地方や極東・沿海地方などに、辺境地の活性化策として設けられてきた。

 タタール系の名誉回復

 クリミアは、ロシア化が急速に進む一方で、ウクライナや欧州からモノ、ヒト、カネの流入が途絶え、経済悪化が懸念されている。またロシアのアントン・シルアノフ財務相(51)がクリミアの財政赤字は約550億ルーブル(約1530億円)に上り、ロシア政府が全額負担する方針を表明するなど財政も厳しい。

 住民の大多数がロシアへの編入を支持したとはいえ、経済的に困窮すればロシアへの不満が高まる懸念があり、カジノ特区による経済波及効果で住民を懐柔したいようだ。

 また、プーチン氏は21日、旧ソ連スターリン時代に弾圧を受けたクリミア半島に住むタタール系住民らの名誉を回復する大統領令にも署名した。併合への不満が根強いタタール系などの少数民族を取り込むのが狙いで、プーチン氏は「この決定は(クリミアの)経済発展につながる」と、胸を張った。

 実現は1カ所だけ

 こうしたクリミアでの経済発展計画や懐柔策は、親露派武装勢力が公共施設などの占拠を続けるウクライナ東部の住民をロシアへとなびかせる誘い水にもなる。

 もっとも、これまでのロシアのカジノ特区は投資家探しが難航し、実現したのは4カ所のうち1カ所だけ。政情が不安定なクリミアでも難航は必至だ。

 米国のカジノ専門ニュースサイトは、今回のロシアの決定をこう皮肉った。

 「クリミア併合自体がロシアにとってギャンブルなのに、クリミアで、そのギャンブルに頼ろうとしている」(SANKEI EXPRESS

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