SankeiBiz for mobile

【ウクライナ情勢】親露派拠点 食事提供、医師も常駐

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

【ウクライナ情勢】親露派拠点 食事提供、医師も常駐

更新

 ≪ウクライナ問題 米露首脳が応酬 EUは制裁対象拡大≫

 ウクライナ東部ドネツク州で親露派武装勢力が警察庁舎などを占拠した問題で、バラク・オバマ米大統領(52)は4月14日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)と電話で会談し、武装勢力をロシアが支援していると非難、武装勢力の退去と武装解除のため影響力を行使するようプーチン氏に要求した。これに対し、ロシア大統領府によると、プーチン氏は「ウクライナ暫定政権がロシア語を話す住民の利益を考えていないことの結果だ」として親露派を擁護した。

 ウクライナ暫定政権のオレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行(50)は15日、議会で演説し「ドネツク州で強制排除を開始した」と述べた。ただ、デモ隊と当局側の大規模な衝突は伝えられていない。

 米国防総省は14日、ウクライナ情勢の緊迫化に伴い、黒海に展開している米海軍のイージス駆逐艦「ドナルド・クック」に、ロシア軍の戦闘機が異常接近し、挑発行為とみなした駆逐艦が無線で警告を発していたことを明らかにした。戦闘機は(4月)12日、駆逐艦に約900メートル以内にまで近づいた。米国防総省は「挑発的だ」と非難した。

 また、欧州連合(EU)加盟28カ国は14日、ルクセンブルクで開いた外相理事会で、ロシア要人らに科している制裁措置の対象を拡大することを決定した。EUはすでにロシアの要人ら計33人に対し、資産凍結とEU加盟国への渡航禁止を発動している。新たな対象者や規模は不明。(モスクワ 佐々木正明、ワシントン 青木伸行、ベルリン 宮下日出男/SANKEI EXPRESS

 ≪親露派拠点 食事提供、医師も常駐≫

 ウクライナ東部ドネツク市中心部で親露派勢力が占拠するドネツク州行政庁舎は、地元の老若男女でごった返していた。政府が強制排除を宣言する中、庁舎内では無料で食事を配るテーブルがあり、医療スタッフも常駐。記者が親露派の拠点に4月15日までに入った。

 建物周辺を囲むのはタイヤや土のうで組まれた頑丈な二重のバリケード。複数の場所で入念なボディーチェックと持ち物検査を受けると、ようやく建物内に入れる。

 庁舎は十数階建て。1階に医療品を配るコーナーがあり、医者もいた。2階には大きなテーブルが置かれ、誰でも食べられる食事を配っていた。

 2階にある州議会議場は人々が座って休憩するスペースに使われている。庁舎占拠に対するロシアの関与を示す具体的証拠は一見したところ見当たらないが、3階より上は迷彩服の男たちが仕切っており、行くには特別な許可が必要だった。

 親露派組織は複数あるもよう。大きなものは「ドネツク人民共和国」や「ドンバス人民義勇軍」。いずれも別々の階に本部を置き、交流はあるものの、縦割りのようだ。責任者に取材したいと言うと、たらい回しにされた揚げ句、11階までの階段を2回往復して空振りに終わった。

 1、2階は多くの人が集い、情報交換をしている。化粧品販売員ナターシャさん(26)は「ロシアの一部になった方がいい」。年金生活者、アレクサンドラさん(67)は「ウクライナに残りたいけれど、自分たちの税金は首都キエフに吸い上げられずに地元で使える仕組みが必要だ」と話した。

 目出し帽に迷彩服姿で鉄パイプを持っていたマクシムさん(29)は「住民投票でわれわれの意思を問うべきだ」と訴えた。

 取材した人々はみな丁寧に応対してくれた。外国メディアに攻撃的だったクリミア半島の親露派とは対照的だった。(共同/SANKEI EXPRESS

ランキング