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アイス・バケツ・チャレンジ 世界的ブーム 「ゲーム化」批判も
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難病の「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」患者支援のチャリティーとして、氷水をかけられる女性たち=2014年8月7日、米マサチューセッツ州ボストン(AP) バケツに入れた氷水を頭からかぶる人が、爆発的な勢いで世界に広がっている。難病の「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」患者の支援運動「アイス・バケツ・チャレンジ」だ。運動が成功を収める一方、本来の目的から脱線しゲーム化しているという批判の声も上がり始めた。米政府や議会では禁止令が出るなど、ブレーキをかける動きも出ている。
一般的なルールは単純だ。友人に指名されたら24時間以内に氷水をかぶるか、ALS支援団体に寄付するかを選択する。氷水を浴びる場合は一部始終の動画をフェイスブックなどで公開し、今度は自分が次に参加する候補者を指名することで運動が広がっていく。
起源には諸説あるが、この夏に米国から広まったことは確かなようだ。当初は寄付対象が限定されていなかったが、ALS患者支援者の参加をきっかけに、現在の形に定着したとみられている。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を多用する若者を中心に急速に広がり、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏(58)や人気歌手レディー・ガガさん(28)、ブッシュ前大統領(68)ら著名人の参加で注目を浴びるようになった。日本でも、ソフトバンクの孫正義社長(57)や京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授(51)らが氷水をかぶった。
ルールも多様化し「氷水をかぶれば寄付金減額」といったパターンや、氷水を浴びた上で寄付をする人も増えた。(SANKEI EXPRESS)
≪動画120万本、目的忘れないで≫
南部バージニア州の高校生(15)は「氷水をかぶっていない友人は周囲にいない。その上で寄付するかどうかはその人の自由」と話す。
動画にも趣向が凝らされ、ヘリコプターから氷水をかけるなど奇抜な演出も。フェイスブックによると、120万本以上の動画が既に投稿された。米国で寄付金が7000万ドル(約70億円)を超えた。治療研究などに使われる予定だ。
ブームの一方で風当たりも強まってきた。水をかぶって騒ぐことが主目的となり、慈善活動に参加しているような自己満足に陥っているとの批判だ。寄付を半ば押しつけるようなやり方への違和感や、ALSへの理解が本当に進んでいるのかといった疑念もある。
米国務省や国防総省、米下院は職員や議員に、特定の慈善事業の支援は職務規定に抵触するとして禁止令を出した。しかし流行に敏感な一部の米議員や米大使は、既に氷水を浴びている。
ALS患者や家族、医療関係者らでつくる「日本ALS協会」(東京都)の金沢公明事務局長は「ALSに関心を持ってもらう契機になった」と謝意を示しながらも「氷水をかぶることや寄付は強制ではない。体を壊しては本末転倒」と話している。(共同/撮影:ロイター、AP、共同/SANKEI EXPRESS)