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【男子テニス】「絶対いける」錦織あと一つ/世界1位撃破 日本人初、四大大会決勝
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全米オープン男子シングルスで、難敵、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破って決勝進出を決め、跳び上がって喜ぶ錦織圭(にしこり・けい)=2014年9月6日、米ニューヨーク(ゲッティ=共同) 日本テニス界の至宝、錦織圭(にしこり・けい、24)=日清食品=が6日(日本時間7日未明)、ニューヨークで行われた全米オープン男子シングルス準決勝で世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(27)=セルビア=を6-4、1-6、7-6、6-3で破り、日本選手として史上初めて四大大会シングルスで決勝に進出する歴史的快挙を成し遂げた。世界11位の錦織は8日午後5時(日本時間9日午前6時)すぎから決勝を戦う。相手は、準決勝で世界3位のロジャー・フェデラー(33)=スイス=にストレート勝ちした世界16位のマリン・チリッチ(25)=クロアチア。過去の対戦成績は錦織が5勝2敗とリードしている。
追い詰められて放ったジョコビッチのフォアの返球がベースラインを越えると、センターコートの大歓声の中、歴史の針が動いた。錦織は大舞台で攻めの姿勢を崩さず、128人の頂点を競う最後の戦いの切符を手にし「何が起こっているか分からない。世界1位の選手を破って特別な気分。うれしい。最高のプレーができた」。コート上で跳び上がって喜び、最高の笑顔を見せた。
コート上の温度が35度の暑さの中での消耗戦。相手は様子を見て守って勝てるような選手ではない。錦織は大事な場面になるとギアを上げてベースラインの内側に入り、積極的に仕掛けた。第1セットの第7ゲームでは2本のリターンエースでブレーク。このセットを奪い、四大大会シングルス7度優勝の相手に重圧をかけた。「キュ、キュ」と靴底がコートに擦れる音と鋭い打球音。動きの速さ、反応の鋭さで負けなかった。
第2セットはあっさり奪われたが、途中からこのセットは“捨てセット”と見切りをつけ、体力を温存しながら、第3セットを自分のサービスゲームから始まるように仕向けたのが、後々モノを言った。
1時間を超えた第3セット。鋭い返球で威圧したタイブレークで、ジョコビッチの乱れを誘って一気に4連続得点した。「あれぐらいの選手でもミスをする。誰でもナーバスになるんだ」。フォアが振れない相手に畳み掛けて勝負どころを制すと、第4セットも第1ゲームをブレークして勢いで一気に押し切った。
ジョコビッチも「(錦織は)よく準備ができていた。本当に素晴らしいプレーだった。おめでとうと言いたい。ここまでの努力を祝福したいし、彼の方が今日は上手だった」と完全に脱帽した。
ここまで来た以上、錦織は絶対に優勝を取りに行くしかない。全米オープンは四大大会の中でも、ウィンブルドン選手権に次ぐ「序列2位」の栄光の大会である。そのタイトルは、ウィンブルドン5連覇を含む四大大会シングルス優勝11度を誇るあのビョルン・ボルグ(58)ですら、ついに一度も手にすることができなかった高い頂だ。チャンスは今、やるしかない。
決勝の相手、チリッチは198センチの長身を生かし、高い打点から繰り出す強烈なサーブが武器だ。錦織はチリッチについて「展開が速いプレーに変えてきている。しっかりしたディフェンスは必要。気持ちはしっかり準備しておきたい」とした上で、「(決勝へ向けて)自信もついてきている。(3試合連続で世界トップ10の)強い選手も倒して、いいテニスができてきている。このまま調子を落とさずにやれれば絶対にいけると思う」と言い切った。そう、今の錦織のテニスは間違いなく世界一だ。油断以外に死角はない。(SANKEI EXPRESS)