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一人の女として、成長のとき 舞台「三文オペラ」 ソニンさんインタビュー
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留学は「自分の居場所」探しでもあった。だが今は、「居場所があるなしは、気にならなくなった」とソニンさん。稽古場で生き生きとポリーを演じる=2014年8月25日、東京都渋谷区(栗橋隆悦撮影) 乞食に泥棒、娼婦など、産業革命の頃の英ロンドンの貧民街をしたたかに生き抜く人々の、猥雑なパワーにあふれた音楽劇「三文オペラ」(ベルトルト・ブレヒト作、宮田慶子演出)が9月10日から、新国立劇場中劇場(東京都渋谷区)で上演される。東京外大名誉教授の谷川道子氏が手掛けた新翻訳版は「女たちがとてもパワフル、女性が元気になる。現代にもアピールできる作品」(谷川氏)。色男の大泥棒、メッキース(池内博之)をめぐる女たちの綱引きの中心となるポリー役には米留学帰りのソニン(31)。「もっともらしい正義や、きれい事だけではだめ。考えて、考えて、生きていくためにはなんでもしなきゃ」と、生き馬の目を抜くようなニューヨーク生活を経た実感もふまえて作品のメッセージを語った。
ソニンは2012年から1年間、文化庁新進芸術家海外研修制度で留学。演劇関連のトレーニングを受けたり、教会でゴスペル隊に参加しながら、時々オーディションを受けるというNY生活は「戦ったな、という印象」だったという。
「組合に入っていないとオーディションが受けられないなど、気持ちは高まるのに現実は進まない、という状況の中で、私はこんなに格好悪かったんだ、って気づいた。情けなかったですよ。でも落ち込まなかった。だって、落ち込んでいると踏みつけにされ、置いていかれてしまうから」。
その結果、「情けない自分も許せるようになりましたね」。9年前の取材で「プライドが高い」と言っていた優等生のソニンが、一皮むけたようになっていた。
「三文オペラ」の舞台となる19世紀、女王の戴冠式間近のロンドンも、生きるためには何でもありだったのだろう。乞食たちには縄張りがあり、総元締めはポリーの父ピーチャム(山路和弘)で「乞食の友商会」まである。街のヒーローは大泥棒メッキース。娼婦も夢中にさせるこの色男は、自分を愛するポリーや娼婦たちをいいように転がし、逃亡の旅にでる。一見、女性たちがメッキースに振り回される展開だが、実は逆。ポリーをはじめ女たちは、したたかに、ちゃっかりと状況を切り抜けていく。
「女性と男性を比べると、女性のほうが圧倒的に変化に適応するスピードが早いし、たくましい。生きていくために変わっていけるんです。それをすごく象徴しているのがポリー。その成長と切り替わりを、ポンポンとテンポの良い芝居で見せられたら」
女性5人が閣僚入りし、女性活躍担当相が新設されるなど、まさにこれからは女性の時代。女性リーダーが増えると世の中が変わってくるでしょうね、とソニンに話を向けると、「でもそうなったら、女性のスピードに、男性たちがついていけないかもしれないですね」。記者は大きくうなずいたのだった。(文:津川綾子/撮影:栗橋隆悦/SANKEI EXPRESS)
9月10~28日 新国立劇場中劇場(東京)。劇場ボックスオフィス(電)03・5352・9999