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独立NO 「生活の安定」選択 スコットランド住民投票

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独立NO 「生活の安定」選択 スコットランド住民投票

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英スコットランド住民投票開票結果=2014年9月18日夜、即日開票。※無効票0.1%、選管最終  英国からの独立の是非を問うスコットランドの住民投票は18日夜、即日開票された。選挙管理当局は19日、最終結果は反対55.25%に対し賛成44.65%(有権者約430万人、投票率84.6%)で、独立は否決されたと発表した。英政府は国土の3割、人口の8%を超えるスコットランド(人口約530万人)のつなぎ留めに成功し、デービッド・キャメロン首相(47)は勝利宣言した。英国分裂による国力低下や経済混乱の危機は回避されたが、スコットランド側は今回「最大限の自治権」を得るとの約束を英政府から取り付けた。英国では他の地方でも分権要求が高まり、英国政治に長期的な影響を与え続けそうだ。

 自治権拡大を約束

 独立を目指すスコットランド行政府のアレックス・サモンド首相(59)は19日、エディンバラで敗北を認め、「負けたが、われわれは自分たちの道を着実に前進している」と支持者らに呼びかけ、拍手を浴びた。そして、スコットランドの自治権を拡大するとした英政府の約束が速やかに実行されるよう求めた。

 一方、キャメロン氏も19日、ロンドンで独立が否決されたことを歓迎するとともに、英国の主要3政党の党首が合意した約束は「完全に履行される」と述べ、新たな徴税権限や社会保障の支出などで、スコットランド議会の権限拡大を11月までに合意し、来年1月までに法制化することを明らかにした。

 今回、独立賛成派が住民投票の直前になって支持が伸びず、敗れたのは、英政府によって(1)独立しても欧州連合(EU)に残れるのかは不透明(2)独立したら通貨ポンドは使わせない-などと指摘され、住民の不安が顕在化したためだ。年金や税金、小売価格の行方など自分たちの現実生活に立ち戻った結果、賛成に投じようとした気持ちを変えざるを得なかったのであり、英政府に対する積年の不平、不満が消えたわけではない。

 欧州統合のジレンマ

 住民投票の余波は、スコットランドと同様に「連合王国」(英国)を構成してきたウェールズにもおよび、「われわれも平等の権利を持っているはずだ」として自治権の拡大を求める声をあげ始めた。こうした分離独立運動の高まりの背景には、国家の代わりに欧州連合(EU)からの庇護が得られるとの期待もあり、英国の事例は高度に進んだ欧州統合のジレンマも映し出したといえる。

 EU加盟国なら経済的には約5億人という自由化された巨大市場が確保される。国家の安全保障はEUに守られ、北大西洋条約機構(NATO)に加盟すれば、米国を含む集団防衛の傘に入る。加盟国は統合の進展に伴い主権をEUに移譲してきたが、小国ほどそのメリットは大きいわけだ。

 民族問題に触れず

 また、今回のスコットランドの独立をめぐる住民投票では、最後まで民族問題が焦点に浮上しなかったことは注目に値する。スコットランドは英国南部に多いアングロサクソン系とは違うケルト系住民による独自の文化を誇りとする。だが、本来は民族主義政党として出発し、独立運動を主導したスコットランド民族党も、幅広い住民支持を得るため民族問題には触れない戦略をとった。宗教や民族問題と結びつくと、独立運動は流血を招く危険性がある。その意味でスコットランドが今回展開した、最後まで暴力とは無縁の独立運動は一つのモデルとなりうる。(SANKEI EXPRESS

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