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11・9 独立問うカタルーニャ/投票法案可決 スペイン政府は阻止へ

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11・9 独立問うカタルーニャ/投票法案可決 スペイン政府は阻止へ

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スペイン・カタルーニャ自治州バルセロナ  スペイン北東部カタルーニャ自治州の州議会は19日、スペインからの独立の是非を問う住民投票をアルトゥール・マス州首相(58)が実施することを認める法案を圧倒的多数で可決した。これにより、11月9日に住民投票が行われることが州法上は決まったが、独立を回避したいスペイン政府は住民投票は「違憲」として阻止する構えを崩しておらず、実現には曲折が予想される。独立が否決されたとはいえ、英スコットランドで18日に実施された住民投票にカタルーニャ自治州は触発されており、「カタルーニャにも自分の将来を決める権利がある」(マス州首相)とする州政府と中央政府との対立を世界各地の「独立派」も注視している。

 「スコットランド道筋示す」

 現地からの報道によると、法案は賛成106、反対28で可決された。これを受け、マス州首相はバルセロナの州議会内で「私の使命は住民投票を実施にこぎつけることにある。もし、マドリード(スペイン政府)が法の枠組みでこれを阻止することができると考えるのなら、それは間違いだ」と記者団に語った。さらにスコットランドでの住民投票にも触れ、「否決されたが、それはカタルーニャにとって障害にはならず、前進は続く。彼らは、独立に至る道筋のモデルを示してくれた」などとスコットランド独立派の敗北は意に介さない考えを強調した。

 一方、中央政府のマリアノ・ラホイ首相(59)は19日、「法案可決は遺憾だ。英国と違って独立住民投票はわが国では違憲であり、阻止されるべきもの。憲法は州法に優先する」とする声明を出した。

 ラホイ首相はこの日朝、スコットランドの独立否決を受けて「とてもうれしい。スコットランド人はリスクと安全、分裂と統合、孤立と共生の間で賢明な選択をした」などと語っていた。独立住民投票についてはスペイン憲法裁判所が3月に「国の枠組みを地方政府が決めることはできない」として「違憲」と判断している。

 背景に経済的不公平感

 カタルーニャは歴史的にフランスとの関係が深く、民族意識も強い。スペイン語のことをカスティリャーノ語(マドリードがあるカスティーリャ地方の言葉)と呼び、独自の言語を持っている。このため、以前から独立志向は住民の間にあったが、本気で考えるのは少数派で、カタルーニャ人としての誇りは大いに掲げるが中央政府との対立先鋭化も望まないというのが、住民意識の主流だった。

 しかし、ここ数年、欧州危機の影響で緊縮財政を進める中央政府への反感や、税制面での不公平感を背景に急速に独立志向が高まった。カタルーニャ自治州は産業が発達して比較的裕福で、面積はスペインの6%余に過ぎないが国内総生産はほぼ2割を占めており、州からの税収が貧しい地域の救済に使われているという不満も住民たちの中では大きい。スコットランドの動きに呼応して、「カタルーニャの日」の今月11日にはバルセロナで180万人が参加して住民投票実施を求めるデモを行った。

 今月初めの世論調査では、自治州の目指すべき方向として「さらなる自治権拡大」が42%で、「独立」(27%)、「現状維持」(19%)を上回っている。しかし、もし住民投票が行われた場合の結果は、弾み一つでどうなるかは不明だ。(SANKEI EXPRESS

 ■カタルーニャ自治州 スペイン本土を構成する17の自治州の一つ。州都は1992年の夏季五輪開催地、バルセロナで、面積は日本の九州よりやや狭い約3万2000平方キロ(スペイン全体の6.3%)。人口は約740万人でスペインの約16%を占める。スペイン語とともに独自言語であるカタルーニャ語が公用語として認められている。

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